米政府、トルネード・キャッシュへの制裁を解除

米財務省は3月21日、国際的ブラックリストからトルネード・キャッシュ(Tornado Cash)を削除した。 この暗号資産(仮想通貨)ミキシングツールは、北朝鮮のハッカー集団「ラザルスグループ」が様々なハッキングや窃盗で得た資金を洗浄するのを助けたとして告発されており、米財務省の外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control:OFAC)は何度も制裁を科した。つまり、米国人や米国と取引のある人物は、財政的に関与することができなかったということだ。 しかし、連邦控訴裁判所は昨年11月、トルネード・キャッシュのスマートコントラクトはいかなる外国人の「所有物」でもないため、OFACは制裁できないとの判決を下した。 「我々は、朝鮮民主主義人民共和国と金正恩政権のためにデジタル資産を盗み、入手し、展開することを目的とした、国家が支援する重大なハッキングとマネーロンダリング活動について、引き続き深く懸念している」と、米財務省はプレスリリースで述べている。 OFACからの別のプレスリリースには、財務省がブラックリストを維持するために使用する記録である特別指定国民(SDN)リストから削除される100以上のイーサリアムアドレスが記載されている。 トルネード・キャッシュの共同創設者の一人であるローマン・ストーム(Roman Storm)氏は、スマートコントラクトとプロトコルの開発における役割に関して、今年7月に刑事裁判が予定されている。別の開発者も起訴されたが、まだ逮捕はされていない。 第5巡回区控訴裁判所による11月の判決後、ストーム氏の弁護団は、同氏に対する告発の棄却要請を却下した先の判決を再考するよう裁判所に求める申し立てを行った。 この申し立ては2月に却下され、ニューヨーク南部地区のキャサリン・ポーク・ファイラ(Katherine Polk Failla )判事は、トルネード・キャッシュ自体が制裁の対象かどうかは、「被告が共謀して違反したとされる制裁(ラザルスグループに対する制裁)には影響しない 」と主張した。 スコット・ベッセント(Scott Bessent)財務長官は声明の中で、米国は 「北朝鮮やその他の不正行為者による悪用からデジタル資産業界を守る必要がある 」と述べた。 21日の声明で財務省が言及した17日の裁判所提出書類の中で、財務省は制裁を完全に解除するまでには至らない可能性を示唆した。 「トルネード・キャッシュの指定を全面的に取り消すことは、国家安全保障と法執行にとって著しく『破壊的な結果』をもたらす可能性がある」と同申立書には記されている。 トルネード・キャッシュTORNトークンは財務省の声明後数分で40%急騰した。 |翻訳・編集:山口晶子|画像:Shutterstock|原文:U.S. Government Removes Tornado Cash Sanctions

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