妻や彼女から突然、訴えられて「性犯罪者」に…「知らなかった」では済まされない不同意性交等罪の成立要件

2023年7月の刑法改正で性犯罪が厳罰化され、「不同意性行等罪」が新設された。一体、どんな行為が犯罪に当たるのか。弁護士・加藤博太郎さんの著書『セックス コンプライアンス』(扶桑社新書)より、一部を紹介する――。 ■「上下関係を利用して」はNG 不同意性交等罪は、従前の「強制性交等罪」、「準強制性交等罪」から、処罰要件も大幅に見直されています。「5年以上の有期拘禁刑」という罰則は、旧法と同等ですが、不同意性交罪の適用範囲はかなり拡大されているのです。 旧・強制性交等罪において、その構成要件として最も重視されていたのは、罪名の通り暴行または脅迫による「強制性」が認められることでした。また、旧法は相手の心神喪失や抗拒不能な状況を利用した性交を対象としたものでした。 一方で、新たな不同意性交等罪における構成要件は以下の通りです。 ———- ・暴行・脅迫 ・心身の障害 ・アルコール・薬物の摂取 ・睡眠時や意識不明瞭な状態 ・不意打ち ・恐怖・驚愕 ・虐待に起因する心理的反応 ・経済的・社会的地位の利用 ———- つまり明白な強制や心神喪失に乗じた性交のみにとどまらず、「睡眠時などの意識不明瞭」や「経済的、社会的関係上の地位に基づく不利益の憂慮」に乗じた性交も処罰の対象となっているのです。 「酔わせてラブホテルへ」なんていうのももちろんNGですし、例えばキャバクラの女性キャストと客という関係性も「経済的関係上の地位に基づく不利益」と判断されるかもしれません。 簡単に言えば、相手方の「同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態」での性行為は全てNGと心得ておいてもいいでしょう。

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