ワリード・シアム駐日パレスチナ大使が都内で産経新聞とのインタビューに応じた。イスラム原理主義組織ハマスとイスラエル軍との戦闘で荒廃したパレスチナ自治区ガザを米国が所有し、住民を域外移住させるとのトランプ米大統領の案を国際法違反だと指摘した。一方、ガザ住民の雇用維持や居住を前提とした「ガザ投資」には反対しない考えを示した。詳細は以下の通り。 ――トランプ氏がガザ所有と周辺国への住民移住に言及した 「国際法違反だ。占領者は被占領者の面倒を見る義務がある。占領下の人々は移住を強いられない。220万人のガザ住民の70%超がイスラエル建国の1948年と第3次中東戦争が勃発した67年の難民だ。土地を奪ったイスラエルの違法な入植者たちこそ去るべきだ」 ――トランプ氏はガザ再建についても言及した 「彼のアイデア自体には反対しない。例えばリゾート開発やガザの街の近代化などは、住民の雇用、居住が認められるなら構わない。投資は歓迎する。ただガザそのものが売りに出されてはならない」 ――戦後ガザの土地は誰が統治すべきか 「ガザはパレスチナ自治政府が統治すべきだ」 ――イスラエルはガザの戦闘で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の施設も攻撃した 「UNRWAはパレスチナ難民の食料、教育、医療支援を行うだけでなく、歴史や慣習を保全する機関だ。UNRWAの破壊はパレスチナ難民の権利そのものの破壊だ」 「イスラエルはガザ住民に人道支援をしていると主張するが、実際はガザ住民を殺害し、餓死させている。ジェノサイド(大量虐殺)や戦争犯罪に手を染めていて何が人道主義か」 ――イスラエルのネタニヤフ政権の右傾化が懸念される 「政権の閣僚の中には『ガザに原爆を落とせ』と主張し、パレスチナ人を『人間の皮をかぶった動物』と言い放つ人もいる。ネタニヤフ首相には国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ている」 ――日本を含む国際社会に何を望む