愛人からの贈与で「10年間で1億円貯まった」けれど無申告・・・このまま申告しないと逮捕される?

「愛人からの贈与で貯めた1億円について、税務申告をしていません・・・」ーーこんな相談が、税理士に無料で税務相談ができるQ&Aサービス「みんなの税務相談」に寄せられた。 相談者は10年間、複数の愛人から贈与を受けていて、自身の口座に1億円ほど貯まったという。現在は無申告の状態だが、自ら申告した場合、何年分の贈与税、延滞税、無申告加算税を支払えばいいかを知りたいという。また、脱税が明るみになることにより、実刑を受けるのかどうかも不安だそうだ。 贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に、受贈者1人がもらった財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた金額に対して課せられる。 この相談者のように、贈与税を申告・納税していない場合、これから申告をしたら支払う贈与税はどうなるのだろうか。また申告しなかった場合はどのようなペナルティがかせられるのだろうか。松本崇宏税理士に聞いた。 ●贈与税の時効は6年だが、脱税目的で贈与を隠すと時効が7年に延長 ーー過去に贈与を受けた分について自ら申告する場合には、いつまでの分に対して申告が必要になるのでしょうか。 「原則として、贈与税の場合は時効が6年のため、『税務調査でさかのぼることができる期間は6年』となっています。6年が経過して時効が成立すると、税務署や国税庁などの調査機関は、課税処分を行うことができなくなります。このため、自ら申告する場合も6年分とするのが一般的です。 ただし、はじめから脱税目的で贈与を隠し、故意に申告をしなかった場合など、悪質性が認められる場合には、贈与税の時効・調査期間が7年に延長されますので、気をつける必要があります。」 ●贈与税額1,650万円+複数年分の延滞税が課せられる ーーもしこのまま申告せずにいて税務署からのお尋ねがきた場合、1年間の贈与額を1億円÷10年=1,000万円と仮定すると、税負担はどれぐらいになるのでしょうか。 「贈与された1,000万円は 『一般贈与財産』に該当し、1年あたりの贈与税額は231万円となります。これに無申告加算税として約44万円と延滞税が課せられます。 これが6年分になると、贈与税額は合計で1,650万円となり、さらに複数年分の延滞税が加わるため、税負担はより重くなります。」 ●贈与税の脱税で刑事罰が科される可能性も ーー贈与税の脱税で実刑になるケースはあるのでしょうか? 「贈与税の脱税に対しては、刑事罰(脱税の罪)が科される可能性もあり、たとえば、偽り・その他不正の行為によって贈与税を免れた場合には『10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)』の範囲で処断されます(相続税法第68条第1項)。 なお、弊社が担当したお客様について、実刑を受けた事例は存じ上げておりません。」 【取材協力税理士】 松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士 税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査対応実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。 事務所名 :税務調査特化税理士 税理士法人松本 事務所URL:https://www.tokyo-consulting.com/zeimu/

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