下益城郡美里町に住む82歳の男性に息子を装って嘘の電話をかけ、現金をだまし取ろうとした疑いで20歳の男が9日、現行犯逮捕されました。 男性から相談を受けた警察が、現金を受け取りに来たこの男を待ち構え、現行犯逮捕。その一部始終をカメラが捉えていました。 【被害者の男性】 「自分は(詐欺の被害者に)ならないと思っていたけど、不思議…」 【前田 美沙希記者】 「下益城郡美里町です。現金を回収しに来た<受け子>の男はいわゆる<だまされたふり作戦>で現行犯逮捕されました」 こちらは9日午後1時半ごろに撮影された防犯カメラの映像です。 軽自動車の運転席からスーツ姿の男が降りてきます。 今回の事件で<受け子>として被害者の男性から現金を回収しに来た男です。 画面手前の車に隠れていたのは警察官。 警察官数人に囲まれた男はその場から逃げようと、車を発進させますが…。 すぐに運転をやめさせられ、車から引きずり降ろされ身柄を確保されました。 詐欺未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは、福岡市西区の自称解体作業員、尾崎 泰杜容疑者(20)です。 警察によりますと、尾崎容疑者は仲間と共謀し、4月8日、美里町の男性(82)に息子を装って電話。「株の配当が入ったが、税金の申告をしていなかった」「国税に口座を差し押さえられた」「200万円を支払えば逮捕されずに済む」などと嘘を言い、翌日、男性の自宅付近を訪れ、現金をだまし取ろうとしたものです。 尾崎容疑者は調べに対し、「貸した金の回収に来ただけ」と容疑を否認しているということです。 被害者の男性に電話を掛けてきた人物は、風邪をひいたふりをして〈本当の息子〉だと信じ込ませたといいます。 【被害者】 「せき込んだりしていた。最初から『声が違うから』とはねとけばよかったが、『脱税』『逮捕』と言われたのが一番効いた。〈本当じゃなかろうか〉と、だんだん引きずり込まれて〈(息子を)助けてやろう〉と思った。今は電話も切って何も受けたくない」 逮捕の瞬間を目撃した人は…。 【事件の目撃者】 「福岡ナンバーの車で、わざとスーツを着て賢そうなふりをしている印象。かなり左右を見て(周りを)気にしていた。やらされている感じだった。被害者も逃げる車を止めようとしてけがをして大変だった」 警察は組織的な犯行とみて、事件の全容解明を進めています。 熊本県内では4月に入り「電話で『お金』詐欺」の被害が急激に増えています。 県警によりますと、4月7日までの1週間に80件の相談が寄せられ、被害の総額は約1億7600万円に上っています。 こうした状況を受け、警察や金融機関などでつくる『特殊詐欺の被害をなくす県民の会』は4月14日、来週月曜に県内で初めて「電話で『お金』詐欺」アラートを発表。18日までの5日間、対策を強化するとしています。 警察は、電話で<警察><お金>という言葉が出たら詐欺を疑い、電話を切って相談してほしいと呼びかけています。