沖縄本島中部の米軍基地内で、県内の成人女性に性的暴行をしたなどとして、県警は23日までに、不同意性交と傷害の疑いで在沖米海兵隊員の20代の男を書類送検した。7日付で、起訴を求める意見を付けたもようだ。日米が「再発防止」をうたう中で事件が繰り返され、再発防止策が実効性を欠いている実態が改めて浮き彫りとなった。 また、この事件とは別に、今年1月、本島内で知人の成人女性に暴行したとして、県警は別の在沖米海兵隊員の20代の男も不同意性交容疑で書類送検した。7日付。 県警や関係者によると、基地内で起きた事件は今年3月に発生。女性は基地従業員で、トイレで襲われた。米兵は助けに入った別の女性に暴行し、軽傷を負わせたという。発生から数時間以内に県警へ被害の申告があった。 県警が米側と協力して捜査を進め、容疑者を特定。日米地位協定に基づき米兵の身柄は米側の管理下にあり、県警は任意で事情聴取した。海兵隊によると、容疑者の身柄はキャンプ・ハンセン内に拘束されている。 県警は1月と3月の事件について、認否を明らかにしていない。 県警はいずれの事件も7日に県へ伝達。県は8日、在沖米海兵隊と外務省沖縄事務所に対し、事件発生に遺憾の意を伝えるとともに、再発防止を口頭で申し入れた。 県内では昨年6月、米兵による性的暴行事件が相次いで発覚。政府や県警が県に事件を伝達していなかったことが問題となり、7月に情報共有の運用が見直された。見直し後の情報共有は計4件となった。 今月18日、米軍が昨年7月に再発防止策として打ち出した県警との合同パトロールが沖縄市の繁華街で実施された。米側は地域住民との協議の場「フォーラム」の設置も表明しているが、開催は実現していない。 ■在沖縄米兵の性暴力事件 2023年12月24日 沖縄県で少女が誘拐され、性的暴行を受けたとされる事件が発生 24年3月11日 県警が不同意性交などの容疑で米空軍兵を書類送検。その後起訴 5月26日 県警が同日発生の不同意性交致傷事件で米海兵隊員を逮捕。その後起訴 6月下旬 地元メディアの報道で二つの事件が発覚 7月5日 政府が県への連絡体制を見直し 9月5日 県警が6月発生の事件で、不同意性交致傷容疑で海兵隊員を書類送検。その後起訴 25年4月23日 県警が3月発生の事件で、不同意性交と傷害の容疑で海兵隊員を書類送検したことが判明。7日付。