オダギリジョー主演の「時効警察はじめました」は、連ドラ"時効警察"シリーズの第3弾で、時効を迎えた未解決事件を"趣味"で捜査する刑事が主人公という一風変わった設定が人気を博し、オダギリジョーの代表作とも言えるコメディー作品だ。彼が演じるのは、時効管理課の刑事・霧山修一朗で鋭い観察眼と独特の視点を発揮して犯人を追い詰めていくが、それを仕事として生かすのではなくあくまで"趣味"の姿勢を貫く変わり者。犯人には「誰にも言いませんよカード」なるものを渡し、逮捕に至ることはない。そして相棒を務めるのが、交通課でありながら霧山と一緒に行動する助手的ポジションの三日月しずか(麻生久美子)。霧山に惚れこみ、彼の一挙手一投足に振り回されながらも必死に食らいついていく姿がまた愛らしい。 強烈な個性を放つ登場人物だが、それを生かしているのがこれまた独特の演出。役者陣の"ノリとテンポが命!"のような会話劇から細部にまでこだわった小道具まで、本作の世界観は唯一無二のものがある。警察署員たちのやり取りはかなりコメディー要素強めだが、謎解きの部分は核としてじっくり、犯人の心理まで丁寧に描かれ見応えたっぷりのミステリーとなっている。 FBIでの任務を終えアメリカから帰国した霧山が目を付けたのは、2つの殺人事件が入り組んだ難解な未解決事件だった。冷凍倉庫で亡くなった水産会社社長の愛人、同時刻に自宅で亡くなっていた水産会社社長…この2つの事件をつなぐ愛人の娘・神沼美沙子(小雪)に会いに行く霧山と三日月。美沙子は宗教団体「阿修羅の水」の教祖で、長い黒髪に白い着物を身にまとい妙に色っぽい。霧山に「強いパワーを感じる」とグイグイくる美沙子に三日月はヒヤヒヤするものの、事件の謎にしか興味がない霧山は一切なびかず、さらに美沙子の興味を駆り立てるのだった。第1話では小雪が、第2話では向井理、第3話は中山美穂がゲスト出演。最終回には山﨑賢人、二階堂ふみ、染谷将太、松重豊が登場するなど豪華なゲストたちにも注目大だ。 オダギリジョーと麻生久美子の凸凹コンビをはじめ、ふせえり、江口のりこ、光石研、岩松了、豊原功補らがこれでもか!と繰り出してくるギャグの応酬に、のっけから笑いが止まらない。全員が真面目に笑いを追求し、おとぼけ具合が絶妙でクセになること間違いなし!ぜひ本作で珠玉の笑いを堪能してほしい。 文=石塚ともか