連続殺人犯に1000件を超える火災…絶望の淵から街を救った奇跡のロゴ「I ♥ NY」誕生秘話

1977年夏、ニューヨークの街は燃えていた。重要な送電線への落雷で25時間の停電が起こり、広範囲で略奪や暴動、そして1000件を超える火災が発生したのだ。 その夜、消防署はハーレム、ブルックリン、サウスブロンクスで同時に炎と闘っていた。普段から1日で平均50件近い火災が発生していた街にとっても、衝撃的な数だ。ニューヨーク市は、かつてないどん底に陥っていた。 そんな街を救ったのは、緊急支援でも大規模な改革でもない。ミルトン・グレイザーというデザイナーが、タクシーの後部座席で描いた単純なスケッチだった。それが、今やニューヨークのシンボルともいえる「I ♥ NY」というロゴだ。「自分たちをもう一度、信じたい」と心の底から願っていた街にとって、それは団結の印、誇りの象徴になった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加