国税、監視委と特刑部が連携 横浜地検に見る「検察改革」後の経済シフト

平成22年に発覚した大阪地検特捜部による証拠改竄(かいざん)事件を契機に声高に叫ばれるようになった検察改革。約15年が経過したが、抜本的な体質改善はいまだ途上といえる。ただ、国民の検察組織への関心は依然高い。ドラマの題材として取り上げられることもある横浜地検では、改革の方向性の一つとして示された「関係機関との連携」により、さまざまな事件を摘発してきた。その一端を紹介する。 ■豊富な話題性 横浜地検を舞台にした地上波テレビドラマは近年、相次いでいる。 石原さとみさんが主演した昨年放送の「Destiny」(テレビ朝日系)、東出昌大さんが検事役を演じた令和2年の「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」(同)、阿川佐和子さんの小説シリーズが原作で吉高由里子さんが駆け出し検事を熱演した平成30年の「正義のセ」(日本テレビ系)も記憶に新しい。 神奈川県庁の向かいにある地検の本庁舎(横浜市中区日本大通)は年季が入っているが、独自捜査を行う地検の特別刑事部が入る分室は、令和5年に開館した「よこはま新港合同庁舎」(同区新港)にある。みなとみらい21地区に位置し、近くに人気商業施設・横浜赤レンガ倉庫がある好立地だ。 トップの検事正ポストには、歴代東京地検特捜部の〝名物部長〟が就任してきた。金丸信元自民党副総裁脱税事件を手がけた五十嵐紀男氏、日歯連旧橋本派闇献金事件の井内顕策氏、銀座「山源ビル」オーナー脱税事件の中原亮一・証券取引等監視委員会委員長らが挙げられる。 ■「パートナー」と 最高検は平成23年、証拠改竄事件を受けた検察改革についてまとめた文書の中で、「今後取り組むべき施策」として特捜部に対し、財政経済関係事件への対応強化を指示。国税当局、監視委、警察などの関係機関との連携を強めることを挙げた。 こうした流れは、特捜部に準ずる存在である横浜地検特刑部にも波及していく。財政経済事件を手掛ける「パートナー」である監視委や国税局とタッグを組むケースは、かつては東京地検によるものが大半だったが、積極的な連携が目立つようになったのだ。 たとえば25年、貸倉庫から金塊を盗んだとして窃盗容疑で2人を逮捕した事件。金塊の密輸に伴う消費税の脱税を国税と捜査した際の経験が摘発につながったとされる。27年に証券会社の資産運用商品をでっち上げ投資詐欺を行った疑いで男を逮捕した際には、監視委と連携した際の知見が生かされたという。

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