茨城県牛久市のスーパーで2000年5月、同市岡見町の土木作業員、藤井大樹さん=当時(17)=が死亡した強盗致死事件の発生から25年が経過した。風化が懸念される中、同県水戸市内原の大型商業施設では10日、大樹さんの母康子さん(67)と県警の捜査員らが犯人逮捕につながる情報提供を呼びかけた。康子さんは「一刻も早く、犯人逮捕の知らせを聞きたい」と切に願った。 事件は同年5月4日の午前0時半ごろ発生。藤井さんは牛久市中央3丁目の元スーパーマルヤ駐車場で、4人組の男から暴行を受け、9日後の同13日、脳挫傷などで死亡した。4人は現金数千円を奪って逃走した。 当時、藤井さんは弟の高校の学生服を着ていた。県警は事件後、現場近くの防犯カメラで撮影された男4人の動画を「重要参考人」として公開し、情報提供を求めてきたが、これまでに犯人逮捕につながる情報は得られていない。 街頭での呼びかけは16年から始まり、コロナ禍の中断を経て今回が8回目。10日は県警捜査1課と竜ケ崎署の警察官、警察学校の学生ら約50人が参加し、事件の重要参考人の写真を掲載したチラシなどを来店者に手渡した。 康子さんは「長い年月がたったが、今でも当時を思い出すと悔しさと悲しさで泣けてくる」と心境を語った。告別式で友人らが「藤井帰ってこい」と声をかけていた記憶は今も鮮明で、「親としてはありがたく、心の支えの一つだった」という。 現在も、自宅の遺影には毎日のように語りかける。同日朝は「大樹も一緒に来なよ」と伝え、店頭では重要参考人の画像を映し出したモニターの前で、足を止めてくれた来店者に丁寧に説明。体が動く限り街頭に立ち続ける考えで「姿は見えないけれど、今後も大樹と2人で一緒にやっていこうと思う」と話した。 県警によると、これまでに計193件の情報提供があったが、近年は減少傾向で昨年は3件だった。 殿岡秀夫竜ケ崎署長は「風化させてはいけない。解決の糸口になる情報が誰かしらの心に残っているはず」と強調。山田真幸捜査1課長も「情報一つで捜査は大きく動く可能性がある。ささいなことでも情報を寄せてほしい」と訴えた。 重要参考人の動画は、県警ホームページなどで公開中。情報提供は同署(電)0297(62)0110、同課(電)029(301)0110。