10月19日早朝、自民党本部前に軽自動車で乗り付けた男は、運転席から降りると、高圧洗浄機のような機器で警察官に液体を噴射。男は全身を防護服で覆い、顔にはガスマスクのようなものを被っていた。さらに、車内から取り出した火炎瓶を複数本、本部正面入り口付近に投げ込み、そのまま車で逃走。首相官邸前に移動すると、侵入防止用の柵に突入し、発煙筒を警察官に投げつけた――。 公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕されたのは職業不詳の臼田敦伸容疑者(49)。軽自動車の車内にはガソリンが入ったポリタンク20個のほか、発煙筒と火炎瓶が複数残されていた。 臼田容疑者は埼玉県川口市で父親と2人暮らし。高校を卒業後、ウェブサイトの制作や長距離トラックの運転手といった職を転々とした。ここ数年はウーバーイーツの配達員をしていたが、半年前にやめて以降、自室にこもっていたという。 なぜ臼田容疑者は凶行に及んだのか。前編記事『「ゴミ屋敷」で入念に準備していた…「49歳中年引きこもり」が首相官邸襲撃を企てた「アジト」』に引き続き、父親の告白を紹介する。 「背景にあるのは自公政権が行っている政策に対する反発・反発だと思います。自分なりに考えた末の行動なのでしょうが、暴力で言論を抑制しようとするのはもってのほか。恨みの出し方が極端になってしまった背景には家庭環境があったと思います」