【AFP=時事】ドナルド・トランプ米政権が、政治的迫害の恐れからロシアを逃れたハーバード大学のロシア人研究者を、同国へ強制送還しようとしている。研究者の弁護士が14日、明らかにした。 ハーバード大学医学部の研究者クセニア・ペトロワ氏は、2月にフランスでの休暇から米国に戻った際、米移民・関税執行局(ICE)に拘束された。 2月16日に提出された刑事告訴状によると、ペトロワ氏はボストンの空港で、手荷物に入っていた生物学的サンプルを申告しなかったとして税関職員に呼び止められた。その後、ビザを取り消され、ロシアへの送還を通知されたという。 ペトロワ氏の代理人であるグレゴリー・ロマノフスキー弁護士はAFPの取材に対し、電子メールで「米政府がクセニア氏の強制送還を試みているのは事実だ」と認めた上で、「彼女には難民申請を行う機会が与えられており、すぐに送還が決定されるとは考えていない。私たちは、クセニア氏の自由と米国滞在資格のために引き続き闘う」と述べた。 告訴状によれば、ペトロワ氏は当局に対し、政治的な抗議活動に参加した過去があるため、ロシアに帰国すれば逮捕される可能性があると訴えている。 ドナルド・トランプ米大統領は、1月の復帰以降、移民に対する取り締まりを強化している。また、2023年10月に越境攻撃を仕掛けたイスラム組織ハマスを支持しているとして、外国人学生のビザを取り消している他、ハーバード大学を含むいくつかの一流大学に対して、資金凍結やその他の罰則を警告している。【翻訳編集】 AFPBB News