近年、埼玉県南部の川口市、蕨市では、在留するクルド人による迷惑行為が問題となっている。頻発する事件や事故に対し、市民は怒りと恐怖を募らせ、市役所には苦情の電話が殺到。市議会もクルド人対策に本腰を入れて取り組もうとはしているが、まだまだ解決の糸口は見えない。「多文化共生」の厳しさについて、実際の事件例とともに考えていこう。※本稿は、三好範英『移民リスク』(新潮新書)の一部を抜粋・編集したものです。 ● 「クルド人は帰れ」苦情が噴出 “肩身の狭い思い”をするのは誰? 2023年1月27日、川口市役所の担当者に、クルド人問題について話を聞いた。市民の苦情が多くなったのは、2年ほど前からだという。 「ケバブ屋の前でクルド人の解体業者のトラックが長時間止まって、運転手が店の中でケバブを食べている。夜、公園にクルド人が集まっていると、日本人にすれば、ガタイがいい兄ちゃんがたむろっているだけで怖い。税金を納めている私たちがなぜ肩身の狭い思いをしなければならないのか、という感情が強くなっているのをひしひしと感じる」 「夜に若いクルド人が集まって騒いでいると、川口市はもともと職人の町だから『何とかしろ。クルド人は帰れ。市は何をやっている』ときつい電話が来る。警察にはもっと苦情が寄せられていると思う。クルド人が運転する暴走車が危険だというので、さいたま市に引っ越した会社社長もいる」 同年3月2日、川口市の市会議員にも話を聞いた。