漁協憤慨、200万円相当の被害も 高級食材ナマコの密漁、小樽沖で後絶たず「根こそぎ取ってく」

小樽沖周辺でナマコ密漁の被害が後を絶たない。11日にはナマコ約485キロ(約200万円相当)を密漁したとして、小樽海保が漁業法違反(特定水産動植物の採捕)の疑いで自称暴力団員ら男8人を逮捕。ナマコの密漁は例年、夏場に集中しており、同海保は警戒を強めている。 「漁業者にとっては死活問題。許せない」。6月中旬のナマコ漁解禁を前にした犯行に小樽市漁協の幹部は憤る。 逮捕されたのは石狩市や札幌市などの25~45歳の男8人。10日夜、小樽市桃内の沖合で、北海道の許可を得ずにナマコを密漁した疑いがもたれている。 同海保によると、8人は指示役、潜水士、ゴムボートの操縦役、陸や海上の見張りなど、役割を細かく分担していた。近年は同様の組織的な密漁が繰り返されており、同海保は毎年のように犯行グループを摘発。今回逮捕した8人とは別の複数のグループも確認しているという。 ナマコは高級食材として中国で高値で取引されており、道内産は表面のイボが大きく特に人気が高い。 同漁協は15年ほど前から、ナマコの養殖に取り組み、毎年8~10月に、親ナマコに卵を産ませてふ化した稚ナマコを水槽で管理。餌を与え育て、海に放流している。水槽の海水を頻繁に入れ替えて塩分濃度が変わらないようにし、常に冷房をきかせて室温を一定に保つなど「手間もお金もかかっている」(同漁協)。 放流後、漁獲できる大きさになるまでは5年以上かかる。資源保護のため、小さいナマコは取らないように徹底するが、密漁者は別だ。同漁協は「大小関わらず、根こそぎ取っていく」と危機感を募らせる。 同漁協のナマコの漁獲量は24年は26トンで、10年前と比べて半分以下に落ち込んだ。密漁も一因とみられる。 日本海側は、波が穏やかな夏場に密漁の被害が集中。同漁協は夜間に自主パトロールをするなど警戒を強める。同海保は「引き続き、取り締まりを徹底していく」としている。

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