別府市の大学生死傷ひき逃げ事件遺族「八田容疑者逮捕まで戦いは終わらない」 殺人容疑適用「捜査態勢強化と進展期待」

「息子は殺された」と訴えてきた遺族の思いが実を結んだ。大分県別府市の大学生死傷ひき逃げ事件から間もなく3年。道交法違反(ひき逃げ)の疑いで全国の警察が行方を追う八田與一(はった・よいち)容疑者(28)について2日、殺人容疑の適用が決まった。遺族は「捜査態勢が強化され、逮捕に向けた一層の進展が期待される。逮捕されるまで私たちの戦いは終わらない」と心境を明かした。 事件は発生当初から、八田容疑者が学生2人を狙って、軽乗用車で故意にはねた疑いが浮上していた。 けがを負った20代男性は事件直後、救急隊員に「これは交通事故ではない」と説明。2022年8月には大分合同新聞の取材に「直前に現場近くで八田容疑者が、(亡くなった)友人に言いがかりをつけていたと思う」などと証言した。 何らかのトラブルがあったとみられる数分後、軽乗用車は猛スピードで2人のバイクをはね飛ばしたという。 こうした状況から、遺族は有志と共に「早期解決を願う会」を結成。容疑者の身体的特徴を示す多くの写真や動画を独自に集めて、インスタグラムなどの交流サイト(SNS)で発信を続けた。県警に寄せられた情報は今年5月末で9600件に上り、「似た人物を見た」といった内容の大半は県外から提供されている。 遺族は23年9月、殺人と殺人未遂を適用するように県警に刑事告訴したものの、指名手配容疑は変わらず、願う会とともにインターネットなどで署名を求めてきた。これまで約9万7千筆に達し、目標の10万筆に迫っていた。 殺人事件としての捜査が本格化することを受け、願う会事務局長の女性(53)は「やっとここまできた。協力してくれた人に心から感謝したい」と語った。 関係者によると、県警幹部は2日午後、遺族を訪ね、手配容疑の追加を説明したという。 遺族は「殺人罪での捜査にこぎ着けるまで、これほど時間を要するとは思いませんでした。引き続き、どんな些細(ささい)な情報でも構いません。逮捕にご協力いただけるよう心よりお願いします」とコメントを出した。

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