「令和赤報隊」を名乗って朝日新聞阪神支局に脅迫文を送り業務を妨害したとして、兵庫県警公安2課と西宮署は3日、脅迫と威力業務妨害の疑いで、静岡県富士市の会社員の男(38)を逮捕した。県警は38年前に発生した阪神支局襲撃事件を模した可能性もあるとみて調べる。 同支局では1987年、目出し帽姿の男が押し入り、散弾銃を発砲する事件が発生。小尻知博記者=当時(29)=が死亡し、犬飼兵衛記者=当時(42)=は重傷を負った。「赤報隊」の名で犯行声明を送り付けた一連の事件は2003年までにすべて時効となった。 男の逮捕容疑は5月3日午後5時50分ごろ、静岡県富士市の運送会社から西宮市の朝日新聞阪神支局に脅迫文などが入った段ボールを送り、同社員の業務を妨害した疑い。県警は認否を明らかにしていない。 同課によると、脅迫文には赤報隊の犯行声明文と同じ記述があり、「反日分子には極刑あるのみである」などと記していた。段ボールには、小尻記者と犬飼記者の写真に多数の穴をあけたA4用紙や、長さ60センチのおもちゃの銃もあった。 県警は段ボールの発送伝票に記された名前や住所から男を特定。今のところ襲撃事件の関連をうかがわせるものは見つかっていないという。 【朝日新聞社広報部の話】朝日新聞阪神支局襲撃事件を想起させる宅配物を同支局に送って脅迫することは許しがたい行為と考えます。今後も兵庫県警の捜査に協力していきます。