ストーカー規制法に基づき、2024年に全国の都道府県公安委員会が出した「禁止命令」は前年比23・0%増の2415件で過去最多だった。うち切迫性が高いとして加害者からの聴聞を経ずに発出する「緊急禁止命令」も同24・3%増の1466件で過去最多だった。警察庁が5日発表した。 17年に施行した改正ストーカー規制法により、禁止命令は事前の警告なしに出せるようになった。以降、禁止命令は年々増加し、23年に初めて警告を上回った。警告は16年の3562件をピークに減少し、24年は前年比3・6%減の1479件だった。 警察が逮捕・書類送検したのは、ストーカー規制法違反が同24・1%増の1341件、住居侵入や脅迫といった刑法など別の法令を適用したのは同2・0%増の1743件だった。 ストーカーに関する相談件数は同1・4%減の1万9567件で、引き続き高い水準で推移。被害者の86・4%が女性だった。 警察は加害者に治療の働きかけをしており、24年は同87・2%増の3271人に実施し、過去最多だった。24年3月以降は、禁止命令を受けた加害者全員を対象に近況などを確認するように努めている。 治療の働きかけをされた人のうち、治療を受けたのは5・6%の184人にとどまり、90・3%の2954人は受診を拒否した。 一方で、配偶者らからのドメスティックバイオレンス(DV)に関する24年の警察への相談件数は、同7・1%増の9万4937件と21年連続で過去最多を更新した。年々、男性の被害者の割合が増加しており、24年は29・7%が男性だった。 警察庁は24年からストーカーとDVに関する警察の警告や禁止命令などの対処についての集計方法を変更した。前年以前に相談があった事案で、年をまたいだ後に対処したものは集計から除いていたが、対処した年の集計に加えることにした。警察庁は「近年、対応が長期化する事案が増えており、現状をより表すものにした」と説明している。【山崎征克】