「襲われるのは想定外」保護者の異常行動…対応は施設任せ 乳児院職員切られ死亡、関係者に衝撃と不安

佐賀市の乳児院で女性職員(55)が切り付けられて死亡し、子どもの母親(28)が殺人未遂容疑で逮捕された事件は、関係者に衝撃と不安を与えた。乳児院などの児童福祉施設は、子どもの家庭復帰を見据えて保護者と信頼関係を築くために警戒を強めにくい事情があり、安全対策との両立が難しいという。一方、事件前の児童相談所と保健所の対応には情報共有が不十分な点があり、専門家から疑問の声が上がっている。(本田彩子、田中早紀、下崎千加) 事件は5月31日夕に発生。乳児院で一時保護中の子どもの母親が施設で面会を拒否された末に刃物で職員を襲ったとされる。 「保護者とのトラブルはあっても、職員が襲われるまでは想定していない」。九州のある児童福祉施設の責任者の男性は戸惑いを隠せない。乳児院は親の病気や貧困、虐待などで一緒に暮らせない乳幼児を預かる。納得しない親ともめる場合もあるため、職員の安全対策は必要としつつ「寄り添って親子関係を修復するのが役割。最初から保護者を疑うことは避けたい」。

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