「大川原化工機」の冤罪事件をめぐり、捜査の違法性を認めた判決について、東京都と国が、最高裁に上告しないことを正式に表明しました。 「大川原化工機」の冤罪事件をめぐっては、東京高裁が5月、警視庁公安部と東京地検の捜査の違法性を認め、都と国に合わせて約1億6600万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。 判決を受けて、東京都と国は上告しないことを明らかにしました。 警視庁は再発防止に向け、捜査の問題点などを検証する方針です。 軍事転用可能な機械を不正輸出したとして逮捕・起訴され、勾留中に胃がんが見つかり亡くなった元顧問・相嶋静夫さん(当時72)の長男は、検証と謝罪を求めると話します。 相嶋静夫さんの長男: (冤罪事件の)被害者に対して真摯(しんし)に謝罪すること、真相を自ら明らかにすること、再発防止を図ること。嘘の供述をしなかった父を今でも尊敬しています。 これで、捜査の違法性を認めた二審判決が確定することになります。 警視庁記者クラブから、最新情報をフジテレビ社会部・中川真理子記者が中継でお伝えします。 警視庁では11日午後3時から、この事件を捜査した公安部の現在のトップ・中島公安部長自らが記者に対して説明を行い、上告しないことを正式に表明しました。 大川原社長ら原告に対しては「多大なご心労、ご負担をおかけしたことについておわびしたい」として、早期に謝罪することを明らかにしています。 また、一連の捜査の問題点を洗い出し、再発防止策をとりまとめるため、警視庁のナンバー2である副総監をトップとした「検証チーム」を設置したということですが、検証結果の公表のメドなどについては述べていません。 (Q.上告しないということは捜査が違法だったと認めるということ?) 先ほど、公安部長は「起訴取り消しの時点で捜査指揮や捜査に問題があったことは間違いない」と述べたものの、判決で「違法」と指摘された捜査のどの部分が問題だったのか、具体的な言及は避けました。 一連の裁判では、捜査員が「ねつ造だった」と証言するなど異例の展開が注目されましたが、冤罪を生んでしまった原因が公安部の組織的な捜査のやり方そのものにあるのか、今後の検証で明らかになることになります。