「国民の信頼損ねた」警察庁長官、指導強化へ 大川原化工機冤罪事件

「大川原化工機」の冤罪(えんざい)事件を巡る民事訴訟で警視庁などが上告を断念したことをうけ、警察庁の楠芳伸長官は12日の定例の記者会見で、「原告の方々をはじめとする当事者の方に多大なるご心労、ご負担をおかけし、警察に対する国民の信頼を損ねたことは極めて遺憾で、警察庁としても重く受け止めている」と述べ、再発防止のための対策を進めていく考えを示した。 楠長官は「警察の活動は国民の信頼の上に成り立っており、今後、警察の公安部門の捜査で二度とこのようなことがないようにする必要がある」と指摘。警察庁が11日に都道府県警に、緻密(ちみつ)で適正な捜査と幹部の指揮を徹底するよう通達で指示したと説明した。警視庁が行う当時の捜査の検証について「しっかりと行われるよう警察庁として必要な監督を行う」とし、検証をふまえながら警察庁としても捜査上の留意点や再発防止策をまとめ、都道府県警への指導を強化、徹底していく考えを述べた。 5月の高裁判決は、警視庁公安部の捜査や逮捕、東京地検の起訴について、一審に続き違法性を全面的に認めた。警視庁と地検は11日、上告断念を発表し、検証の実施と同社社長らに今後謝罪する意向を表明した。(編集委員・吉田伸八)

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