ゴミ、糞便、病原菌、死体、犯罪組織…米政権の「密入国放置」が生んだ巨大な地獄絵図

中米パナマと南米コロンビアの国境付近に広がる山岳の熱帯雨林地帯「ダリエン地峡」。2021~24年、ベネズエラやハイチなどの祖国を逃れた100万人以上の人々が、この一帯の危険な山道を越えてパナマに密入国した。大半がアメリカへの移住を目指す人たちだ。 彼らが通った後に残されたのは、大量のゴミと汚水、そして現地住民の苦しみだった。 「最悪の社会的・人的・環境的惨事と言うほかない」と、パナマのフアン・カルロス・ナバロ環境相は本誌に語った。ナバロは先頃、ドナルド・トランプ米大統領に対して、前バイデン政権時代に移民の大量流入により深刻なダメージを被ったダリエン地峡の環境浄化を行うよう求めた。 この地峡を通過して北を目指す人々の人道的状況も極めて厳しい。 移民の密入国は「コロンビアのクラン・デル・ゴルフォやベネズエラのトレン・デ・アラグアなどの巨大犯罪組織のビジネスになっている。移民たちは襲撃や虐待を受けたり、罠にはめられたりする」と、ナバロは言う。 こうした状況に関して、ナバロはアメリカ政府の対応を批判している。「わが国は(移民を助けるために)年間1億2000万ドルを超す資金を拠出している。一方、アメリカの前政権は国境を開放し続けたまま傍観していた。世界最大の大国が混乱に拍車をかける状況では、全てが崩壊してしまう」

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