■広がる抗議デモ 強硬化する移民政策 ロサンゼルスで広がったトランプ政権の移民政策に対する抗議デモ。一部が暴徒化し、500人以上が逮捕される事態となっています。 アメリカ トランプ大統領(10日) 「やつらは動物だ。アメリカの都市が外国の敵に侵略され、占領されることは許さない」 デモの発端は、6日に行われた「不法移民」の摘発でした。ICE(移民・税関捜査局)が40人以上を一斉に逮捕したのです。ICEは、トランプ政権下で活動を強化。親族を突然拘束されたという人は… 住民(6日) 「おばが最近強制送還されました。彼女は犯罪者ではありません。3人の子どもがいて、1人は消防士です」 洗車場で働いていた父親が、勤務中に、ICEに連行されたという女性も… 住民(11日) 「父は今日、妹の卒業式に出席する予定でした。でもここに来て卒業を見届けることができません」 地域に根ざして暮らしていた人たちが、突然、ICEに拘束される恐怖は、トランプ政権下で全米に広がっていました。5月、ボストン近郊の住宅街で、突然、ブラジル出身の女性が、ICE、移民・税関捜査局に連行されていきました。 拘束された移民の娘(21) 「ママがここにいるの…」 赤ちゃんを抱いているのは、女性の娘。そして、もう一人、17歳の娘は、母親が乗せられた車に取りすがりますが… 拘束された移民の娘(21) 「キャー!」 近隣住民 「母親を連れていくな!」 ICEによるこうした突然の拘束が全米各地で強行されるなか、住民らの怒りが、ロサンゼルスで噴出したのです。そして、世界を驚かせたのが… ■「ロス暴動」以来 “60年ぶり”州兵派遣 抗議デモが起きた翌日、トランプ政権は、すぐさま州兵の派遣を発表。大統領権限で州兵を動員することは、「反乱」などの特殊な事態で認められていますが、現場の州知事が反対する中での動員は、実に“60年ぶり”です。月曜には、さらに海兵隊の派遣も発表。これは60人以上が死亡した92年の「ロス暴動」以来のことです。 トランプ氏(10日) 「『反乱』があれば間違いなく反乱法を発動する。様子をみよう」 反乱法が発動されれば、海兵隊による逮捕なども可能になります。今回のデモも、一部は過激化し、警官隊との衝突も起きていましたが、平和裡に続いているデモも多いのです。カリフォルニア州のニューサム知事は、「そもそも強硬に抑え込む必要はなかった」と批判しています。 カリフォルニア州・ニューサム知事(10日) 「デモの状況は落ち着き、一部に集中していた。しかしそれはトランプ氏が望んだことではなかった。彼はエスカレーションを選び、より強力な手段をとった。公共の安全より演出を優先したのです。」 異例の州兵派遣や軍の投入などによって、さらにデモ参加者の反発を煽ったという指摘。強権化するトランプ政権に対する抗議デモは、ロサンゼルスに端を発し、全米に広がっています。