イラン「第2のチェルノブイリ被害」も G7が米に停戦仲介促せ パリ大教授インタビュー

【パリ=三井美奈】イスラエルとイランの交戦はどこに向かうのか。パリ・シテ大学のアザデ・キアン教授(イラン出身)が16日、産経新聞と会見し、イランの地下核施設が攻撃されれば「核汚染物質が漏れ、(1986年の)チェルノブイリ原発事故のような被害が出る」と警告した。先進7カ国(G7)首脳会議で、トランプ米大統領の停戦仲介を促すべきだと訴えた。主なやり取りは以下の通り。 --イスラエルはなぜ攻撃したか 「イランがトランプ米政権と続けていた核協議を阻止しようとしたのだろう。イスラエルは協議が妥結して、米国が対イラン制裁解除に動くのを防ごうとした。(イスラエルの)ネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を行ったことで国内外の批判にさらされている最中にある。イランへの攻撃は国民の支持が強く、権力の安泰を図ることができる」 --イランは出遅れたのか 「イランでは以前から、政権要人が『イスラエルの対外特務機関モサドが政権中枢に浸透している』と警鐘を鳴らしていた。昨年夏、テヘランでパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス最高指導者が暗殺され、それが実証された。だが、イラン当局は国内の反体制派弾圧を強めるばかりで、モサドの長期にわたる破壊工作を阻止できなかった」 --イランの被害は 「イスラエル攻撃で、イラン中部ナタンツなどの核関連施設が標的になった。現在のところ、被害は限定的だ。ウラン濃縮施設は地下にあり、攻撃には米国が持つ大型貫通弾が必要。イスラエルは現在は保有していない。だが、度重なる攻撃で濃縮施設から核汚染物質が漏れる危険はある。チェルノブイリ原発事故のような大惨事を招きかねない」 --イランの体制崩壊はあるか 「現体制はすでに弱体化が著しかった。2022年にはヒジャブ着用が不適切だとして逮捕された女性が警察の拘束中に死亡したのを機に、全国的な抗議運動が広がった。今回のイスラエルの攻撃でさらに大打撃を受けた。だが、戦争下で、民主化要求運動はできない。体制はイスラエルのスパイ扱いし、弾圧を強めるだけだ。かつて革命防衛隊幹部の死亡を喜んだ人たちも、今は攻撃で国がボロボロにならないかと不安を抱き、声を潜めている」 --中東各国への影響は

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