このシリーズで取り上げた「吉展ちゃん事件」(昭和38年3月発生)を教訓に、警視庁捜査第1課には、誘拐事件を専門に取り扱う特殊班が設置された。現在は「SIT」の名で知られる捜査第1課特殊班の任務は誘拐だけではない。ハイジャック事件や「グリコ森永事件」のような企業恐喝事件、「ホテルニュージャパン火災」といった大掛かりな業務上過失事件も担当する。そしてもう一つ、「立てこもり事件」への対応も特殊班の任務だ。本シリーズ第1回で取り上げた「三菱銀行猟銃立てこもり事件」(昭和54年1月発生)では、大阪府警捜査第1課特殊班が対峙した。それから2年後の昭和56年、警視庁捜査第1課特殊班が立ち向かった「深川通り魔殺人事件」を振り返る(全2回の第1回)。