オンラインカジノを常習的に利用したとして、フジテレビのバラエティ制作部企画担当部長でプロデューサーを務める鈴木善貴容疑者(44)が警視庁に逮捕された。オンラインカジノを巡っては、タレントやプロ野球選手、アナウンサーら複数人が書類送検されているが、逮捕された例はほとんどない。今回、逮捕まで至った理由について、弁護士法人「ユア・エース」の正木絢生代表弁護士が本紙の取材に応じ、解説した。 鈴木容疑者が逮捕に至った背景を、正木弁護士は「賭博行為の常習性、高額性、そして悪質性が重く評価された」と推察。「具体的には、昨年9月から今年5月までの間に約1億円をオンラインカジノに入金していたとされ、さらに警視庁保安課によれば、今年3月から5月のわずか1カ月半で約1億7000万円を賭けていたとの情報もあります。短期間に巨額を投じていたことは、常習性の強さを示す重要な要素です」とした。 さらに「報道によれば『会社から処分された後も賭博をやめなかった』とされており、反省の色が見られないことや規範意識の低さが強く現れている点も、悪質性の根拠」と指摘。「こうした事情を踏まえ、証拠隠滅や逃亡のおそれもあると判断された可能性が高く、これまでの一時的・少額な賭博で書類送検にとどまった事例とは異なり、逮捕という厳格な措置が選択されたものと考えられます」と説明した。 賭博罪は単純賭博と常習賭博に分けられるが、正木弁護士は「常習賭博と判断された可能性は非常に高いです」と明言。「鈴木容疑者は9月から5月の間だけでも約1億円を入金し、繰り返しバカラなどに賭けていたとされており、『数回・短期間』といった単純な賭博とは明らかに異なります。刑法186条に規定される常習賭博罪は『賭博を習慣的に行っていた者』に3年以下の拘禁刑を科すもので、今回のように行為が長期間かつ反復継続している場合は、これに該当するとの捜査判断があったとみるのが妥当です」とした。 その上で、改めてオンラインカジノについて「たとえ運営元が海外であっても、日本国内からアクセスして金銭を賭けた時点で、賭博罪(刑法185条)に該当します。1回限りであっても『単純賭博罪』として50万円以下の罰金または科料の対象になりますし、反復して賭博行為を行う習癖のある者として常習性が認められれば、『常習賭博罪』として3年以下の拘禁刑が科される重い犯罪となります。オンラインカジノは『海外だからOK』と誤解されがちですが、国内からアクセスすれば明確な違法行為であり、処罰の対象になるというのが日本の法的立場です」と注意喚起した。