『ルパン三世』の約30年ぶりとなる完全新作の2D劇場版アニメ『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』が、2025年6月27日に公開される。小池健監督が描く、この物語のもう一人の主役となるのが、“犯罪を憎む熱血敏腕刑事”銭形警部だ。この記事では、正義への執念と、善悪を超越したルパンとの攻防に酔いしれることができる、本作における銭形警部に迫る。 銭形警部は警視庁公安課に所属する、ルパン三世の逮捕に執念を燃やす男だ。どこかおっちょこちょいでドジを踏む、コメディリリーフ的な立ち回りも多い憎めないキャラクターというイメージを持つ人も多いだろう。 屈指の人気を誇る伝説の名作『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)においては、「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」というアニメ史に刻まれる名言を放った。だがその瞬間も、よく見ればその顔にはあちらこちらに絆創膏がベタベタに貼られている。そのギャップがまた愛おしく、親近感を感じさせてくれる存在だ。 しかし、小池監督が手掛ける〈LUPIN THE IIIRD〉シリーズの銭形は、モンキー・パンチによる原作においてより色濃く描かれていた、クールで知性あふれる"正義"の男という本質的側面をいま一度際立たせている。宿敵ルパンとの善悪を超越した独特な関係性を通じて意外な人間味も垣間見せる、複雑な魅力を放つ人物として活躍する。 そんな小池監督がメガホンを取る約30年ぶりの2Dアニメ劇場版『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』で迎える、この奥深き正義の化身・銭形警部の真髄が凝縮されたクライマックスは必見だ。 本作は、世界地図にも載っていない謎の島を舞台に物語が展開する。お宝を狙うルパン一行を追ってこの島に不時着した銭形を待ち受けていたのは、想像を絶する光景だった。島には24時間以内に死をもたらす毒霧が充満し、かつて兵器として使われ、捨てられたという不気味な"ゴミ人間"が徘徊している。さらに、不老不死を掲げ世界を選別と排除で支配しようとする"ムオム"という存在にたどり着いた銭形は、まさに生死を賭けた窮地に追い込まれる。 こうした危機的環境下でも、本作で描かれる銭形は原作の魂を受け継ぐハードボイルドな人物そのもの。鋭く風格たっぷりな表情の下に秘めた炎のような情熱、揺るぎない正義感、そして鋭い洞察力を武器に真実に迫っていく。ルパンとの絶妙な距離感が鮮烈に映し出されることでさらに立体的な人物像が浮き彫りとなり、宿敵でありながら互いを認め合う、刑事と怪盗という善悪に留まらない関係性が物語に確かな奥行きを与える。 そして、劇場版の前日譚『LUPIN THE IIIRD 銭形と2人のルパン』でも、そんな銭形の魅力が遺憾なく発揮されている。一般人を巻き込んだ未曽有の爆破テロ事件で、容疑者としてルパン三世の名が浮上する。「目の前の犯罪者を逮捕する。それだけだ」という揺るぎない信念で事件に挑む銭形だが、鋭い洞察力で疑念を抱き、“2人目のルパン”という衝撃の存在を追うこととなる。ここでも銭形とルパンの複雑な関係性が物語の核心となり、互いを理解しながらも、その立場ゆえに相対せざるを得ない2人の攻防が予想外の展開を生み出していくのだ。 このように、小池監督が描く銭形警部は、正義の化身でありながら人間味あふれる複雑な魅力を放つ。ルパンを追う執念、犯罪に立ち向かう不屈の精神、そしてルパンとの一筋縄ではいかない関係性。クールな外見と熱い内面のコントラスト――これらが織りなす姿こそ、〈LUPIN THE IIIRD〉シリーズ・銭形警部の真髄と言えるだろう。 追いかけることをやめない銭形がいるからこそ、ルパンは常に華麗に盗んで暗躍しつづける。その「すべて」に繋がる物語である、『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』を見逃せない。 『ルパン三世』の約30年ぶりとなる完全新作の2D劇場版アニメ『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』は、2025年6月27日に公開される。 『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』 6月27日(金)全国公開 STAFF 原作:モンキー・パンチ 監督:小池健 脚本:高橋悠也 音楽:ジェイムス下地 クリエイティブ・アドバイザー:石井克人 主題歌:B’z 「The IIIRD Eye」 アニメーション制作:テレコム・アニメーションフィルム 製作・著作:トムス・エンタテインメント 配給:TOHO NEXT コピーライト表記 CAST 声の出演:栗田貫一 大塚明夫 浪川大輔 沢城みゆき 山寺宏一 声のゲスト出演:片岡愛之助 森川葵 空気階段 原作:モンキー・パンチ(C)TMS