内乱特別検察官チームは昨日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領に28日午前9時までに出席するよう通知した。尹前大統領が調査に応じるという立場を明らかにし、裁判所が逮捕状を棄却したことによる措置だ。特検チームは尹前大統領を出国禁止として捜査を準備している。特検に先立ち高位公職者犯罪捜査処などが逮捕と拘束手続きを進めた。現在、尹前大統領の身柄が自由なのは、この6カ月間に記憶するのが難しいほど複雑な事件が続いた結果だ。 捜査初期から数回にわたり召喚に応じなかった尹前大統領は、高位公職者犯罪捜査処の逮捕状執行も拒否した。逮捕される直前には不法捜査だと主張し、拘束令状が発付された日には熱烈支持者らが西部地裁を無法天下にした。拘束起訴された後は拘束期間の算定方式を問題視し、拘束取り消しという見慣れない決定まで受けた。検察がこれに抗告せず、内乱首謀容疑を受ける被告が逮捕52日後に釈放されるというあきれる状況が生じた。その後、憲法裁の罷免決定があり、拘束されないまま裁判が進行中だ。内乱特検チームのパク・ジヨン特検補は「尹前大統領は数人の被疑者のうち調査に応じなかった唯一の人」と指摘した。「法不阿貴」に言及して「振り回されない」とも述べた。 法は身分の高い者に諂わないという意味の四字成語を使ったのは、これまでの捜査過程に問題があったという判断を内包したものとみられる。権力を失って四面楚歌となった尹前大統領がそのような人物であるかはともかく、彼が国民の常識とはかけ離れた法技術で特恵を得ようとした事実は否認しがたい。内乱の重要任務に従事した容疑で拘束された軍人・警察と比べても尹前大統領の裁判進行状況は公平でない。内乱首謀容疑の法定刑が「死刑、無期懲役または無期禁錮」で殺人罪より重いという点でも拘束裁判が妥当だという指摘が多い。 内乱特検チームにより追加で起訴された金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官も特検チームと裁判所に反発した。26日に6カ月の1審拘束満期を迎えたが、特検チームが追加で起訴して拘束令状発付を要請すると、忌避申立で対抗した。裁判所に対しては「特検の金竜顕拘束と不法起訴に同調するものと見るしかなく遺憾だ」とした。金前長官側は裁判所が忌避申立を簡易棄却するとまた反発し、忌避申立を数回繰り返した。裁判所は「訴訟遅延目的が明白」として忌避申立は棄却し、拘束令状を発行した。 特に尹前大統領と金前長官の捜査と裁判で前例のない法技術の悪用が繰り返されている。公憤を呼ぶほどの状況だ。大韓民国の大統領と長官を務めた人として一般人の常識に合う態度を見せるのが国民に対する最小限の礼儀だ。