中古車ビジネスで10年7倍224人…パキスタン人が急増の北海道江別市 地域に溶け込もうと努力「誰からも話しかけられるように」イベント開催など地域交流も盛んに

皆さんが日々の暮らしで感じている「なぜ?」「どうして?」を解明するHBC『今日ドキッ!』のコーナー「もんすけ調査隊」。今回の依頼はこちらです。 ・依頼人(江別市在住 ぱるさん 50代) 「江別市にパキスタン人が急増しているそうです。なぜ増えているのか?調べてください」 日本から6000キロ離れた南アジアの国、パキスタン。人口が2億4000万人と世界で5番目に多い、日本の友好国だ。 札幌市のベッドタウン江別市で今、パキスタン人が急増しているという。なぜ増えているのか?我々は江別市へ向かった。 ・調査員 「あちらにパキスタンの方らしき人たちがいます。どちらの国から来ましたか?」 ・アリ・ウマールさん(9年在住) 「パキスタンから来ました」 ■江別市に急増のパキスタン人…素顔は? やはり、江別市にパキスタン人は住んでいるのだ。彼らは、いったい何をしているのか? ・アリ・ウマールさん(9年在住) 「私は中古車の販売会社を経営しています。オークションや地元ディーラーから日本の中古車を購入し、海外に輸出しています」 壊れた車が積み重った自動車解体現場。自動車から取り外したパーツを、ドバイやフィリピン、タイ、ベトナムなど、世界各国に輸出しているという。それにしても、なぜ江別市なのか? ・アリ・ウマールさん(9年在住) 「江別には自動車オークションの大きな会場がいくつもあって、車の購入や輸送に便利で、ビジネスがしやすいんです」 実は、江別市とその周辺には、大規模な中古車オークションの会社とディーラーが多数存在し、中古車ビジネスが活況なのだ。 さらに土地代が安く、車を置く広い場所も確保しやすいのも魅力だという。 でも、本当にパキスタン人は増えているのか? ・江別市 後藤好人市長 「外国人は1094人。この5年間で約1.5倍。パキスタン人は、現在224人で、5年で2.4倍に増えている状況」 ■江別市民は皆、好意的 2016年には32人だったパキスタン人が、今年は224人に。10年で、7倍にも増えているのだ。市民はどう思っているのか? ・江別市民 「外国人が増えているとは感じる」 「家の近くにも多くいる。特に問題も起こっていない」 「ルールを守ってもらえれば別になんともない」 市民からの意見は皆好意的だ。さらに江別警察署に聞いてみても… ・北海道警察 「特に江別市内に住むパキスタン人が管轄内の治安を乱したり、暴行、傷害などといった逮捕者が出ていることはない」 国籍別の犯罪件数のデータは取っていないとしながらも、パキスタン人の増加と犯罪発生率に関係はなさそうだ。 ■パキスタン人への理解を深めてもらおうとイベントも開催 そんな江別市に、地域社会に溶け込もうと努力するパキスタン人がいる。 大学生のソバン・ファルークさんだ。5年前に来日し、父親が営むパキスタン料理店を手伝っている。 ・ソバン・ファルークさん(5年在住) 「パキスタン料理と言えば、バーベキューのものもあるし、カレーとかだとラムニハリとか、食感としては、日本人のカレーと近い感じだけど、実際はとても辛いもの」 パキスタン料理は、スパイスをふんだんに使った辛い料理として知られるが、この店のビリヤニは見た目が特徴的で辛くもない。 さらに江別市に住むパキスタン人のため、一般のスーパーではあまり買えないイスラム教のハラル認証を受けた食品も販売。 ・ソバン・ファルークさん(5年在住) 「ほとんどの人たちが、家族がいない環境にいるので、簡単に作れるナンとか簡単に作れる食材を用意している。このレストランでは、多文化共生のための交流の機会を増やそうとしている」 パキスタン人への理解を深めてもらおうと、レストランを使って、パキスタン文化を紹介するイベントなども開催。 ■「話しかけられないことを消していきたい」 そして、ファルークさんの家族たちも… ・ファルークさんの妹 「博物館でアイヌの勉強をしてきました」 ・調査員 「学校で友達はできた?」 ・ ファルークさんのいとこ 「学校で友達が10人ぐらいできました」 ・いとこの友人 「かくれんぼやサッカー、バスケットをして遊んでいます」 言葉や文化の壁を乗り越え、日本社会に順応しようと努力しているのだ。 ・ソバン・ファルークさん(5年在住) 「日本人の視点から見ると、怖さというか、どんな人なのかなと、話しかけられないことを消していきたい。誰でも簡単に話せるように、ちゃんと話せるようにしたいと思っている」 もちろん努力しているのはファルーク家だけではない。 仕事を終えた江別市に住むほかの外国人たちも熱心に日本語を勉強。 ・パキスタン人(2年在住) 「日本からドバイに車を売っています。今、日本語を少し覚えて、便利になりました」 ・ミャンマー人(8年在住) 「僕は結婚していて、子どもが生まれたから、色々な日本語で調べないといけないことが多くなって、日本語を勉強しています」 ■お互い安心して暮らしていけるように 思いがけない外国人住民の急増で、新たな局面を迎えた江別市。今後、増え続ける外国人に、どう対応していくつもりなのか? ・江別市 後藤好人市長 「今の少子高齢化、労働力不足を考えていくと、国の政策でやっているので、市が外国人政策を取る取らないにかかわらず、外国人住民は今後も増えていくと思う。お互い今までいた方々、入ってきた方々、これは国籍を問わずだと思ってる。きちんとルールを守って生活しなければならないし、お互い安心して暮らしていくためのルール作りは必要。ルールを知らせることも必要だと思っている」 ◆調査結果 世永聖奈キャスター)江別市は中古車ビジネスに便利なので、パキスタン人が急増していました。 田村次郎さん)スパイスを使った肉料理が大好きなんですよ。まだ食べたことがないパキスタン料理はあると思うので、江別に言って食べてみたいですね。 松本裕子さん)外国人の定住者が増えるということは、生活の基盤、医療機関や行政機関などでの言葉の壁が大きくなってくると思うので、例えば倶知安町、外国人と言えばニセコですけれども、外国人対応の医療機関の一覧だとかアプリだとか、地域で一緒に暮らす取り組みが大切になって来ますね。 堀啓知キャスター)コミュニティの一員として受けれることが大事なので、相談態勢を強化するとか日本語教育をサポートするとか、トータルでどう支えるかということが大切ですね。 ◆イベント開催 世永)そんな多文化共生の第一歩となるイベントが開催されます。 □在日パキスタン人移民研究×中古車流通研究から考える江別のいま 8月3日(日)午後2時~江別市民交流施設「ぷらっと」 □パキスタン文化交流会 8月10日(日)午後3時~アンモナイトレストラン 堀)国籍は関係なく、そこで暮らす人たちが安心して暮らせるマチ作りが、一番の基本かもしれませんね。

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