ボクシングジムに営業で訪れた女性に抱きつき、キスなどをしたとして、兵庫県警は30日、不同意わいせつの疑いでボクシング元日本ミドル級王者の千里馬啓徳(本名金啓徳)容疑者(67)=神戸市中央区=を逮捕した。県警によると「全くやっていない」と容疑を否認している。 逮捕容疑は昨年8月21日午前10時45分ごろ、会長を務める「千里馬神戸ボクシングジム」から出ようとした女性(38)の前に立ちはだかり、わいせつな行為をした疑い。女性は何度かジムを訪れたことがあり、当時は2人きりだったとみられる。女性の勤務先から県警に相談があった。 千里馬容疑者はジム会長として3階級制覇した元世界王者・長谷川穂積氏らのボクサーを育てた。ただ、選手を直接指導することは少なく、日々の練習はトレーナーが担い、一歩離れた立場から指導した。長谷川氏が大成したのもボクサーだった父・大二郎氏、世界初挑戦前から担当した元兵庫県警刑事の山下正人トレーナーらによる部分が大きい。 一方で現役時代に対戦した漫才師トミーズ雅をジムの後援会名誉会長に誘い、神戸の有力企業をスポンサーにつける社交性で不安定なジムの財政を支えた。長谷川氏の練習を取材に訪れる新聞記者を食事に誘い、麻雀も打った。その社交性が行き過ぎてトラブルを招くこともあった。