尹錫悦前大統領を再び逮捕 4カ月ぶり身柄拘束…南北軍事衝突誘発の容疑も本格捜査へ

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領による昨年12月の「非常戒厳」宣布について捜査する特別検察官は10日未明(日本時間同)、自身の拘束阻止を指示した特殊公務執行妨害など5つの容疑で尹氏を逮捕した。尹氏の身柄が拘束されるのは約4カ月ぶり。尹氏は全面的に容疑を否認している。 尹氏を巡っては、戒厳の名分をつくるために北朝鮮に無人機を飛ばすよう指示し、軍事衝突を誘発させようとした疑いも浮上。特別検察官は外患罪の適用に向けた捜査を本格化させるもようだ。 尹氏の逮捕容疑は、捜査機関による自身の逮捕状執行を阻むよう大統領警護処に不当に指示したほか、戒厳宣言文の法律的欠陥を補うため、事後に虚偽の宣言文を作成したなどとしている。戒厳を正当化する虚偽の情報を海外メディアに流すよう指示した職権乱用の疑いも持たれている。 ソウル中央地裁は尹氏の出廷の下で審査を行った上で「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状の発付を認めた。 尹氏は1月に内乱首謀容疑で逮捕、起訴されたが3月に釈放され、在宅の状態で公判に臨んでいた。6月の李在明(イ・ジェミョン)大統領の就任後、韓国国会は政府から独立した特別検察官が尹氏の不正疑惑などを捜査する法案を可決。保守系の野党や尹氏の支持者らは今回の逮捕を「政治報復だ」とみて強く反発している。

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