騙した「おぢ」は「人間と接した感覚ではない」…頂き女子りりちゃんが留置場で記者に漏らした無慈悲な感情

1億5000万円をだまし取り、現在服役中の「頂き女子りりちゃん」こと渡邊真衣受刑者は、「おぢ」と呼んでいた被害者に対して何を思っていたのか。フリーランス記者の宇都宮直子さんは「被害者への思いを尋ねた私に対して、彼女は『人間と接した感覚ではないので』と言い放った」という――。 ※本稿は、宇都宮直子『渇愛 頂き女子りりちゃん』(小学館)の一部を再編集したものです。 ■留置場での面会は「チケットの争奪戦」 この時渡邊被告が勾留されていたのは、愛知県春日井署内の女性留置施設だった。 面会するためには、まず朝9時に電話して署内に2部屋しかない面会室の予約を取り、それから被告に面会希望者と会う意思があるかどうかを、留置施設の担当者を通じて確認しなければならない。 留置施設の中にいる大勢の未決拘禁者たちの家族や知人など、関係者がこぞって面会の予約を取ろうと一斉に電話をかけるので、9時から20分間ほどは常に“お話し中”で、面会室を予約するだけでも、まるでコンサートのチケット争奪戦のように困難なのだ。 被告人との面会は、事件を起こした動機や被害者についてどんな感情を持っているか、また本人の生い立ちなどを直接聞くことができるため、事件取材において大きな意味を持つ。最初に手紙を送り、自己紹介をした上で、なぜ面会したいのか、どんなことを聞きたいのかを相手に伝えてから面会に臨むのが通常だ。 しかし週刊誌の仕事があるため、次の日には東京に戻らなければならない私に、その時間はなかった。この時は次に名古屋に来ることができる目処が立っていなかったこともあり、「ダメ元」で面会予約を試みたのだった。 ■アクリル板の向こう側の「りりちゃん」 その日は運良くすぐに電話が繋がり、面会室を確保することができた。さらに、渡邊被告からも面会に応じる意思があることも確認でき、15時40分に予約を取り付けることができた。あまりにもスムーズに予約できたこと、何よりも見ず知らずの記者からの面会申請を渡邊被告が受け入れたことは、大きな驚きだった。 本当に渡邊被告に接見できるのか。何かの間違いであったり「やっぱり面会できない」と直前になって断られたりするのではないか……半信半疑のまま面会時間の10分前に留置施設に着き、携帯電話とボイスレコーダーを係員に預け、「第2面会室」のドアを開けると、すでにアクリル板の向こうにちょこんと座る渡邊被告の姿があった。

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