米ギャラップの新たな世論調査によると、米国人が移民に対して否定的な見解を示していた過去4年間の傾向が逆転しつつあるようだ。移民を肯定的にとらえ、ドナルド・トランプ大統領の移民問題への対応に否定的な人々の割合が過去最高となった。 ギャラップが6月に実施した世論調査の結果によると、調査対象の成人の79%が「移民は米国にとって良い」と回答し、否定的にとらえている人の割合は過去最低の17%だった。移民は悪影響を及ぼしていると考える米国人が増加していた2021〜2024年のトレンドがひっくり返っているようだ。 ギャラップのレポートによると、移民に対する肯定的な受け止めの増加は主に共和党支持者の間でみられ、無党派層ではそれほどでもなかった。移民は米国にとって有益な存在だと考える民主党支持者は過去最高の91%に達した。 不法滞在している移民への市民権付与に賛成する米国人は増えたが(支持率は昨年の70%から78%に上昇)、国境警備隊の増員(支持率は昨年17ポイント低下)や国境の壁の拡張(支持率は8ポイント低下して45%)など、不法入国を抑止したり強制送還したりする厳しい措置を支持する人は減った。 ギャラップの分析によると、移民に対する否定的な見方の後退はバイデン前政権時代に急増した不法入国に対する「トランプ政権の迅速かつ目に見える対応」の結果のようだ。 だが、世論調査ではまた、米国人の大半がトランプの移民問題への対応に賛成していないことも示されている。「賛成」は35%、「反対」は62%で、うち45%は「強く反対」と答えている。 調査では、トランプの移民政策に対する評価は党派によって大きく異なることも示された。共和党支持者の間での支持率は85%だったのに対し、無党派層では28%、民主党支持者に至ってはわずか2%だった。 トランプは厳しい移民政策と、数百万人もの不法移民を国外追放するという米国史上最大規模の強制送還を公約に掲げて昨年の大統領選を戦った。新しい政策として、犯罪歴があり、最終的な国外退去命令を受けた人々をターゲットにすることを示唆してもいた。だが、トランプが大統領に就任してから移民・税関捜査局(ICE)による犯罪歴のない移民の逮捕・拘留は増えている。トランプは選挙期間中、亡命対象の制限や一部の移民の一時保護資格の剥奪、南部国境の警備と取締りの強化を約束していた。 トランプ政権はこれまでのところ、ニカラグア、ホンジュラス、ネパールからの移民約6万人の一時保護を打ち切り、不法入国者を逮捕すべく数千人の兵士を国境に配備した。また、犯罪歴や他国を経由した渡米など、いくつかの要素に基づいて亡命に新たな制限を設けるなど、さまざまな政策変更を行なっている。加えて、難民申請者の申請内容を米国で審理している間、申請者をメキシコで待機させる「メキシコ残留」プログラムを復活させた。米国で生まれた不法移民の子どもに自動的に国籍を与える「出生地主義」の廃止にも動いたが、この試みは7月10日に連邦地裁によって阻止された。 トランプは毎年、移民100万人を国外へ送還したい考えだ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、今年に入って1日当たりの移民の逮捕件数は38州で前年から倍増している。