刑事裁判で保釈中に、特殊詐欺でだまし取った現金を持ち逃げした「出し子」に報復したとして、傷害と逮捕監禁容疑で再逮捕された男性(27)が、秘匿性の高い通信アプリを使い実行役に遠隔で指示していたことが警視庁組織犯罪対策特別捜査隊への取材で判明した。男性は特殊詐欺グループの指示役とみられ、被害者には「賠償金を含む500万円を稼ぐまで働け。次飛んだら殺す」と脅したとされる。 再逮捕されたのは、沖縄県石垣市真栄里、職業不詳、森拓実容疑者。再逮捕容疑は、実行役5人と共謀して2024年11月12~13日、埼玉県川口市で無職男性(25)を車に乗せて手足を結束バンドで縛って監禁し、顔の骨を折るなどの重傷を負わせたとしている。森容疑者は黙秘しているという。 警視庁によると、森容疑者は当時、別の特殊詐欺事件の公判中だったが、保釈されていた。旅行中に秘匿性の高い通信アプリを使い、車の手配や被害男性を呼び出す場所などを実行役に指示したり、状況を報告させたりしていたという。 さらに、車内に連れ込んだ被害男性にテレビ電話で「500万円を返すか、死ぬかどっちかだ」などと脅したとされる。 保釈中の被告に関して刑事訴訟法では、指定した住所に許可なく戻らない場合に適用される「制限住居離脱罪」の規定があるが、森容疑者は遅くとも24年11月以降、指定の住所から石垣市に移っていたという。【長屋美乃里】