櫻井翔主演の占拠シリーズ第3弾となるドラマ『放送局占拠』(日本テレビ系)の第2話が7月19日に放送された。武装集団「妖」に占拠された放送局の人質が13人に絞られ、葬られた闇を白日の下に晒していく復讐の番組が始まった。そんな中、人質のひとりである『NEWS FACT』ディレクター日出哲磨(亀田佳明)がスマホで状況の隠し撮りをしていたり、警視庁警備部長・屋代圭吾(高橋克典)は隠れて官房長官と電話でやりとりをするなど、妖周辺で不穏な動きをする人物たちがいる。彼らのその妙な動きの目的について考察してみたい。 まずは日出哲磨。公式サイトの人物紹介では「何度もスクープを連発している敏腕ディレクター。口調は乱暴だが番組にかける情熱は深く、皆から一目置かれている」とあり、彼の怪しい動きは、隠し持っていたスマホで占拠の様子を撮影していたこと。おそらく妖のスパイではなく、単にテレビマンとしてのジャーナリズム根性だと考えられる。日出は何度もスクープを連発する人物なだけに、行き過ぎたジャーナリズムによって妖の復讐対象になっていることが容易に想像ができるが、スマホでの隠し撮りは妖が意図的に泳がせている可能性も。番組を仕切る唐傘小僧が人質にした技術スタッフへの指示が手慣れた感じなので元テレビ関係者だとすると、日出が恨まれているかもしれないし、逆に視聴率を取るために妖と手を組んでいるという線も考えられる。 第2話では、傷を負った和泉さくら(ソニン)を武蔵裕子(比嘉愛未)がドラマのセットで手術し、妖にピンポイントで拉致された国民的人気俳優で内閣官房長官・式根泰山の息子・式根潤平(山口大地)が手術中のメスを盗んだのもしっかりとカメラに捉えられている。これまでの式根潤平の態度を見ていると、親の七光りのクズ人間臭がぷんぷん漂っている。様々な罪を犯し、官房長官の親がもみ消してきたお約束パターンと予想できる。 今回、青鬼こと大和耕一(菊池風磨)が追っているのは5年前に起きた「鎌鼬事件」で、資料によると犯人とされていた伊吹(加藤清史郎)の恋人の神津風花がマスコミやネットのセンセーショナルな報道によって追い込まれ拘置所で自殺している。もし神津が濡れ衣で、この事件に式根潤平が絡んでいたとしたら、そして官房長官の指図で濡れ衣の報道を煽っていたとしたらと考えるといろいろと繋がってくる。式根潤平は盗んだメスを武器に妖と対峙するだけではなく、人質たちを脅すシチュエーションも出てくるかもしれないが、日出が撮影した証拠によってクズな性格が後々明るみにされていく予感。それを思うと、日出の演出しだいでヒーローにも悪役にもできる怖さを持っている存在だと言える。 日出を演じる亀田佳明は、最近だと大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の芝全交役や『東京サラダボウル』でのベテラン福祉介護士役など、NHK作品に顔を出しているが、基本的には文学座所属で新国立劇場の舞台でメインキャストを張るほどの実力派舞台俳優なだけにモブでは終わらないはず。少なくとも、視聴者にカギとなるポイントをクローズアップ、もしくはミスリード要因としてドラマを面白くする役割だと思うので、彼の行動には要注意だ。