「憲法9条違反」で逮捕? 荒唐無稽の内容で不安あおる特殊詐欺の現実

京都府内で特殊詐欺事件が相次ぐ中、京都府警は府内に住む30代男性の携帯電話にかかってきた不審な電話の録音を公開した。警察官を名乗る人物が、男性名義の銀行口座が犯罪に悪用されたと説明し、逮捕をほのめかしては不安をあおる典型的な手口。幸い被害には至らなかったものの、こうした電話は各地で横行しているとみられ、府警が注意を呼びかけている。 府警が公開した音声は、男性と犯人側との電話を録音したもの。手口はこうだ。自身を「大阪府警生活安全部のオオノ」と名乗った犯人側の男。次に男性名義の口座が勝手に開設され、さらに犯罪収益の受け取りに悪用されていると告げる。その上で「日本国憲法9条で決まっております、『犯罪収益隠匿罪』というものが成立します」。冷静になれば荒唐無稽な理由だが、その後も男性の不安をあおるように、会話を続けた。ただ、事件概要を説明するためペンとメモを用意するよう言われた男性が準備をしていたところ、電話は途切れた。以降、電話がかかってくることはなく、男性に被害はなかった。 府警によると、府内での今年6月末時点の特殊詐欺の被害額は約9・3億円。過去最悪となった平成26年の被害額(約11・5億円)を大幅に上回るペースとなっている。警察官をかたる手口が急増しており、中には偽物の警察手帳を提示することで相手を信じ込ませようとするケースもある。また遠方の警察を名乗って出頭を要請し、相手に難色を示されたところで、SNSでのやり取りに誘導する手口も確認されている。 府警は「警察がSNSで連絡を取ったり、警察手帳をオンラインで提示したりすることはない。不審だと思ったらすぐに電話を切って警察へ相談を」としている。 府警は、不審な電話について公式ユーチューブで公開している。(東九龍)

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