『大追跡』遠藤憲一&濱田龍臣が圧巻の“一人二役” 今後の展開を示唆する名波の過去も

大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒がトリプル主演を務める水9ドラマ『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』(テレビ朝日系)が、8月6日に第5話を迎えた。 第5話のキーワードは双子。倉田一郎(眞島秀和)が殺害された事件の容疑者として浮かび上がってくるのは、浜田響(濱田龍臣)と双子の兄である稲城純一(濱田龍臣・二役)。倉田純一と純二と名付けられた双子は、父親による虐待と育児放棄が理由で児童養護施設に引き取られ、それぞれ別の家庭の養子にもらわれていた。 響は裕福な家庭でピアニストに、一方の純一は半グレ集団に属するようになっていた。濱田龍臣によるはっきりとした兄弟の演じ分け、さらに事件の終わりに伊垣(大森南朋)が推察するピアノ選考会の際に響が演奏を止めたのは同時刻に純一が父親を殺害したことを察知したのではないか、というオカルトとも取れるエピソードが印象的だ。恒例となっている会見で八重樫(遠藤憲一)が話しているように、それは双子にしか分からない領域なのかもしれない。 放送前から話題になっているが、第5話では八重樫がまさかの双子であったことが明らかになる。青森で寿司店を営む双子の兄・雅彦(遠藤憲一・二役)が、久世(佐藤浩市)と名波(相葉雅紀)が酒を酌み交わしていた小料理屋「まえだ」のテレビに突如姿を現す。八重樫と瓜二つの人物がマグロを捌いているのだから、久世と名波は目を丸くするしかない。しかも、雅彦が八重樫を訪ねて警視庁にやって来るのだから、部下である青柳(松下奈緒)、伊垣も驚きを隠せない。 これまた恒例の“警察庁キャリア官僚の名波”のくだりは、八重樫が自ら雅彦に説明し、「はぅ~」と雅彦が相槌を打つという、もはや往年のコントを見ているかのようなコメディータッチとなっている。マグロの解体ショーがインバウンドで大受けだったと嬉しそうに弟に話す雅彦。その様子を見つめる伊垣、名波、青柳だが、どこかいつもと表情が違う。捉え方次第かもしれないが、特に松下奈緒は笑いを堪えているような表情にも見えてくる。 髪型だけでなく、方言、姿勢などで一人二役を見事に演じ分けている遠藤憲一。本作の緊張と緩和、サスペンスとコメディーの要素を担う八重樫を人気キャラに育て上げており、初回から筆者が思い浮かべていたのは、『民王R』(2024年/テレビ朝日系)で遠藤が主演として演じていた武藤泰山。エピソード毎に中身が誰かと入れ替わるという、一人何役も演じてきた遠藤にとっては、今回の一人二役は朝飯前だったことだろう。 最後に特筆しておきたいのは、冒頭の久世と名波の会話。話題は、名波がSSBC強行犯係に配属になったことについてだ。「人の役に立っているのだろうか」という理由から、外資系証券会社から警察庁に転職した名波。見かけによらず、すぐに人助けに入る名波は交番に何度もお世話になっていたと、久世は名波の母親から聞いたと懐かしそうに話す。名波の根っこにある正義感が伝わるいい話なのだが、「SSBC強行犯係には、お前のような人間が必要なんだよ。既成概念に囚われず、捜査をしてくれ」という久世に、「あの事件を解決するためにもですね」と名波が返し、久世が「あの犯人は絶対逮捕せねばならん」と口にする会話が明らかに今後の展開を示唆している。 そして、気になりすぎるのが、女将・しず(白川和子)の存在。第3話での居酒屋「しず」から、小料理屋「まえだ」にアップグレードしていることも気になるのだが、インサートされるしずのアップのタイミングから、久世と名波が話している事件にしずも関わっているのではないかとすら思えてくる。名波の母親ではないかというのは少し突飛すぎるとしても、いつも眠そうにしていながらも実は話を聞いている、そんな彼女が只者ではないのは確かだろう。

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