カンボジア北西部で特殊詐欺に関与したとみられる日本人29人が拘束された事件をめぐり、愛知県警は29人について、現地から「かけ子」をしたとして、近く詐欺容疑で逮捕する方針を固めた。捜査員ら約80人が19日、首都プノンペンに向け、中部空港(同県常滑市)を出発した。県警は、現地で29人の身柄の引き渡しを受けた後、チャーター機で日本に移送、逮捕する方針。 捜査関係者によると、29人は10~50代で、28人が男、1人が女。うち3人は10代の少年。29人は5月下旬、タイとの国境付近に位置するカンボジア北西部・ポイペトの拠点で、警察官などをかたって、関東地方の人にうその電話をかけ現金をだまし取った疑いが持たれている。 事件をめぐっては、現地当局が5月に拠点を捜索して29人を拘束。県警は6月に捜査員を派遣して調べていた。摘発の端緒となったのは、1月に現地から帰国した愛知県内の男性の情報提供とされる。男性の説明では、拠点では中国人の管理下で日本人がかけ子を行い、モニター越しに監視されていたという。男性は渡航の経緯について「求人サイトで応募した」と話しているといい、県警は日本人が組織的に集められ、詐欺に加担させられた可能性があるとみて実態解明を進める。(高橋俊成、鎌形祐花)