2021年にクーデターが起きて以降、ミャンマーでは国軍と武装勢力の戦闘がいまなお続いている。日本と米国に拠点を置く英字メディア「ディプロマット」によれば、これまでに350万人以上の市民が国内避難民となり、100万人以上が近隣諸国へ逃げ出している。 そんなミャンマーで、人権侵害が激化しているようだ。なかでも軍事政権に反する立場にいる人々に対する暴力は、凄惨を極めている。国連人権理事会が設置した「ミャンマーでの国際法違反を調査する独立調査メカニズム(IIMM)」の最新の報告を引用し、英紙「ガーディアン」は次のように報じる。 「IIMMは、2〜17歳までの子供たちがしばしば親の代わりに拘束されていたことを示す証拠を目撃者から集めた。軍と警察は、政府への反対運動に関与したとみられる親を逮捕できない場合、その子供たちを拘束することがある。拘束された子供たちは、拷問、虐待、あるいは性犯罪、ジェンダーに基づく犯罪の被害に遭う」 「国に楯突く親」がいれば、その身代わりに子供を捕らえて拷問にかけるという、考えうる限りでも最も残虐な行為だ。 カタールメディア「アルジャジーラ」によれば、IIMMは「数百の目撃証言、法医学的分析、写真や文書など、1300以上の情報源」をもとに報告書をあげている。そこからわかるのは、軍が権力を掌握してから4年以上が経ち、国内での残虐行為は落ち着くどころか「頻度と残虐性はエスカレートし続けている」ということだ。 ミャンマーにおける逮捕状況を追跡している「政治囚人支援協会」によると、軍事政権に抵抗したとされる政敵やジャーナリスト、活動家など約3万人がこれまでに拘束されている。