「実は、“ネグレクト”になります」専門医が警告する、知らぬ間に子どもの脳を傷つける“親の何気ない行動”

子どもをおとなしくさせるためにスマホを渡す。泣いていても、少しの間なら放っておく。食事は忙しさの中で、コンビニに頼ることもある——。 そんな「よくある育児の風景」が、知らず知らずのうちに“ネグレクト”とみなされる可能性があることをご存知でしょうか? そこで今回は、小児精神科医・友田明美先生が最新の脳研究をもとに、不適切な養育のリスクに警鐘を鳴らし、親が気づかぬ“心への影響”と、その回避法をやさしく解説した書籍『子どもの脳を傷つける親がやっていること』(SBクリエイティブ)を一部抜粋してご紹介。 医療や食事、声かけやスキンシップ——“当たり前のケア”を十分に受けられなかった子どもの脳は、どのように傷つくのか。 親として知っておきたい「ネグレクトの境界線」と、「“愛着”の危機」について考えます。 『マルトリ(マルトリートメント)』とは マルトリとは、虐待やネグレクトに限らず、「子どもへの避けたいかかわり」を指す総称です。マルトリを経験すると、こころの傷(トラウマ)が生じ、認知の障害(IQ低下)、健康に害を及ぼす行動(薬物やアルコール依存)やさまざまな疾病リスクが高まり、最終的には早世につながる可能性があります。子ども時代に受けた虐待やネグレクトといったマルトリの経験は(たとえ、しつけの名のもとに行われたものであっても)、脳の構造や愛着(アタッチメント)形成に神経生物学的な影響を与え、成人後の生きづらさにつながっていきます。マルトリが最も影響を与えるのは幼少期であるため、妊娠期からの切れ目のない親への早期支援が重要です。 (『子どもの脳を傷つける親がやっていること』はじめにより)

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