神戸市中央区のマンションで女性が刺殺された事件の後、不審者などの情報を届ける兵庫県警のアプリ「ひょうご防犯ネット+」の利用が急増している。事件が起きた8月20日の前後10日間で新規ダウンロード数を比べると約2・4倍に増加。面識のない男が後をつけて襲ったとされる事件に不安が広がったとみられ、県警は「アプリで身の回りの情報を確認し、危険を回避してほしい」としている。 県警は2月、新たなアプリとして防犯ネット+の運用を開始。従来、メールで届けていた犯罪発生や不審者目撃などの情報をアプリで確認でき、8月末時点でダウンロード数は13万9283件に上るという。 県警によると、アプリの新規ダウンロード数は8月10~19日に計1665件だったが、同20~29日は計3923件に急増。20日と21日の2日間だけで計861件だった。殺人容疑で逮捕された容疑者が被害女性を「全く知らない人」と供述したことが報じられた25日は、新規利用が8月で最多の676件に上った。 アプリでは、防犯情報▽特殊詐欺▽交通事故▽犯罪統計-に関する情報を地図上で示している。防犯情報や交通事故は発生場所にマークを表示。クリックすれば詳細が確認できる。 県警は8月末までに、子どもや女性に対するつきまといや声かけ、無断撮影などの不審者情報を991件配信した。月平均では100件以上だったという。 県警生活安全企画課の担当者は「帰宅ルートに不審者情報のマークがあれば道を変更し、アプリを効果的に使って身を守ってほしい」と話す。県警はホームページなどで防犯対策のリーフレット「女性のための安全サポートブック」も掲載している。 刺殺事件は先月20日午後7時20分ごろに発生。女性が上半身を複数回刺されて亡くなった。殺人容疑で逮捕された男は、県警の調べに「路上で被害者を見つけ、好みのタイプだったので後をつけた」との趣旨の供述をしたという。 県警は、容疑者が面識のない女性を尾行した上、オートロックのドアが閉まる前にすり抜ける「共連れ」でマンションに侵入し、エレベーター内で襲ったとみて調べている。(篠原拓真、森下陽介)