小田原市部長を収賄の疑いで逮捕 謝礼に商品券20万円受け取ったか

小田原市発注の下水道工事などで業者に便宜を図った謝礼に商品券を受け取ったとして、神奈川県警は3日、同市環境部長の樋口肇容疑者(58)=同市栄町=を収賄の疑いで逮捕し、発表した。認否は明らかにしていない。 また、樋口容疑者に対する贈賄の疑いで、同市の建設会社の代表取締役の50代男性と営業部長の60代男性(役職はいずれも当時)についても任意で事情を聴いており、容疑が固まり次第、書類送検する方針。 捜査2課によると、樋口容疑者は昨年8月と今年2月の2回、市発注の下水道工事などを巡り、市内の建設会社に便宜を図った見返りとして計20万円分の商品券を受け取った疑いがある。 同社が受注した新築住宅の工事現場で下水道の整備が必要となり、樋口容疑者は昨年7月ごろ、同社の依頼に応じて市の上下水道局に整備を早めるよう促したという。また、同社の代表取締役の親族が購入を予定していた土地の付近にあったごみ集積場を、市の環境事業センター所長に働きかけて別の場所に移動させたという。 樋口容疑者は昨年7月から現職。市役所の環境部長室で、同社の営業部長から商品券を受け取っていたとみられるという。(中嶋周平) ■市長は「信頼していた。よもや……」 神奈川県小田原市は3日午後4時から臨時に会見を開き、加藤憲一市長が「市民の信頼を大きく損ね、慚愧(ざんき)に堪えない。綱紀粛正を徹底して信頼回復に全力を尽くす」と述べた。 同市では2011年にも職員の贈収賄事件があり、再発防止のためにコンプライアンス推進委員会を立ち上げていた。樋口容疑者はこの委員会のメンバーだった。 加藤市長は、樋口容疑者が企画部の職員時代からよく知る間柄だったという。「有能で難しい役柄もこなし、信頼していた。よもや、というのが率直な印象」と話した。 逮捕容疑に関しては「市民から担当外のことで要望を受けるのはよくあり、部局をまたいで口を出すこと自体は悪とは思わない。ただ、どういうニュアンスで意思決定に介入したかはわからない」とした。 同市では病院建設費を37億円借り忘れるなど大きな事務ミスが続いている。加藤市長は「今回の事案と通底するものがあるか見極めて、その根を断ち切らないといけない」と述べた。 今回の事件に絡んで複数の職員が県警から事情を聴かれていることは認めたが、市側は捜査中を理由に詳細を明かさなかった。(清水敬久)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加