14億円超詐取「ナニワの地面師」巧みな手口解明なるか 指示役きょう大阪地裁で初公判

大阪・ミナミを舞台に不動産取引を装って14億円以上をだまし取った「地面師」事件で、詐欺罪に問われた会社役員、福田裕被告(53)の初公判が4日午後、大阪地裁で開かれる。地面師グループは福田被告を指示役とした男女4人組とみられ、ミナミにビルを所有する会社の代表らになりすまし、交渉相手を信用させ多額の売買代金を手に入れたとされる。ドラマでも話題となった地面師の巧みな手口が、公判でどこまで明かされるのか注目される。 地面師とは、他人の不動産の所有者になりすまして架空の売却話で多額の代金をだまし取る詐欺師だ。平成29年に「積水ハウス」が55億円余りの被害に遭った事件で注目を集め、昨年には同事件をモチーフにした動画配信大手ネットフリックスのドラマ「地面師たち」も人気となった。 起訴状などによると、福田被告は他のメンバーと共謀し昨年2~3月、大阪市内のビル所有会社の代表者になりすまし、同社がミナミに所有するビル3棟などを売却すると別の不動産会社2社に偽り、代金として計約14億5千万円をだまし取ったとされる。 大阪府警は今年5月以降、福田被告のほか、メンバーとみられる無職の粂(くめ)陵平被告(25)や60代女を逮捕し、70代女も摘発。福田、粂の両被告は詐欺の罪で、女2人は電磁的公正証書原本不実記録・同供用などの罪で、それぞれ起訴された。 事件の始まりは昨年1月下旬。起訴状などによると、60代女と70代女が大阪市内の区役所を訪れ、偽の運転免許証などを提出。70代女がビル所有会社の代表になりすまし、虚偽の印鑑登録申請をするなどしたという。 同年3月1日には、大阪市内にある不動産会社の事務所で、福田、粂両被告が同社社長や司法書士らと面会した。粂被告がビル所有会社代表の親族を装って「おばあちゃんから好きにしていいと言われ、引き継いだ会社です」などと偽り、司法書士に運転免許証を提示。信用した社長らとの間でビル1棟を約4億5千万円で売買する契約が成立すると、その場で大量の札束が入ったスーツケースが被告側に渡ったという。 また、同月5日には、別の不動産会社の事務所で、同様の手口でミナミのビル2棟を総額約10億円で売買する契約を締結。同月7日までに多額の現金が被告側に渡ったとされる。いずれも指示役は福田被告だったとみられ、昨年4月、不動産会社の代理人弁護士が府警に相談したことで発覚した。

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