千葉・女性刺殺、15歳を少年院送致 「長期間の処遇が必要」

千葉市若葉区の路上で5月に高齢女性が刺殺された事件で、殺人などの非行内容で送致された区内の中学3年の少年(15)について、千葉家裁は10日、少年院送致とする保護処分を決定した。地引広裁判長は「動機は自分勝手で酌量の余地はない」として、少年院での「相当長期間の処遇が必要」だと指摘した。 決定によると、少年は5月11日午後、若葉区若松町の路上で、面識のない高橋八生(やよい)さん(当時84歳)の背中を折り畳みナイフ(刃体の長さ約13センチ)で何度も刺して殺害した。 地引裁判長は決定理由で「少年は家族に対する悪感情を基礎とし、自分が家を出るために無関係の者を殺そうと考えた」ことが動機だとし、「被害者にとって理不尽で、重大・悪質な非行」と指摘。刑事処分のために検察官送致(逆送)することも「考えられないわけではない」と言及した。 一方、事件に至る経過については「生まれながらの資質や家庭環境という少年に帰責できない事情に影響を受けた部分が相当程度ある」と考慮。「(家裁送致後の)変化を見ると保護処分による矯正可能性もないとは言えない」として、「少年院送致とする必要がある」と結論づけた。 捜査関係者によると、少年は逮捕後の調べに「(殺すのは)誰でも良かった」「少年院に行きたかった」などと供述。その後、刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置を経て、7月に家裁送致されていた。 決定について元少年院長の服部達也・京都産業大教授(少年法)は「家裁は少年の家庭環境を重視し、その問題を取り除いたら十分更生の余地はあると判断したと考えられる。年齢や家庭環境を考え、保護処分を優先するという少年法の理念、精神に基づいた決定だ」と評価した。【林帆南、高橋晃一】

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