大阪府警が今年3月、20代のベトナム人男性3人を窃盗の疑いで逮捕した。容疑は電動アシスト自転車のバッテリー盗だった。 大阪府内では2月以降に自転車のバッテリーを狙った窃盗事件が連続で発生。府警が防犯カメラ映像などを調べたところ、大阪市西成区にあるアパートの一室が窃盗グループの「アジト」だとつかんだ。 逮捕された3人は警察の調べに「ベトナム人に買い取ってもらい、報酬を得て生活費、家賃、借金返済に使うつもりでした」と供述した。 容疑者の一人は2019年に技能実習生として来日。21年に在留期限が切れたが、「日本でもっと金を稼ぎたい」との思いから不法滞在を続けた。 しかし、職に就けず生活が困窮するようになった。頼ったのが交流サイト(SNS)上のベトナム人コミュニティーだった。 仕事を求めると、見知らぬ人物から「電動バッテリーを盗めば買い取る」と連絡があった。知人のベトナム人男性にも相談して一緒に犯罪に手を染めることを決めた。 報酬はバッテリー1個あたり2000円。指定された場所に送ると金が振り込まれた。逮捕された3人は大阪や愛知、京都で100件以上の窃盗を繰り返した。被害総額は約300万円相当に上った。 電動アシスト自転車の普及とともにバッテリーの盗難被害は深刻となっている。大阪府内では24年までの4年間で被害件数が5倍に急増した。【斉藤朋恵、大坪菜々美】