米右翼活動家のチャーリー・カーク氏が射殺された事件で、検察当局は16日、タイラー・ロビンソン容疑者(22)を加重殺人など7件の罪状で訴追した。検察は、容疑者がルームメイトへのメッセージの中で、カーク氏の殺害を打ち明けたとした。 米ユタ州ユタ郡のジェフリー・グレイ検事は記者会見で、ロビンソン容疑者が、恋愛関係にあったルームメイトに発見されるよう、キーボードの下にメモを残していたと説明。メモには、「チャーリー・カークを排除する機会があり、それを利用する」と書かれていたとした。 検事はまた、容疑者とルームメイトが交わしたテキストメッセージも公表。その中には、カーク氏を撃ったのは「彼の憎悪にうんざりした」からだと、容疑者が説明したとされるものもあったとした。 検事はさらに、犯行に使われたとみられるライフルの引き金から検出されたDNAなど、いくつかの証拠の存在も明らかにした。 容疑者はユタ郡の拘置所で拘束されており、保釈は認められていない。この日はビデオリンクで初出廷した。 検察は罪状を読み上げた。加重殺人、重罪の銃器発砲、公務執行妨害2件、証人に対する不正2件、子どもの前での暴力犯罪の計7件。 検察はまた、死刑を求刑する方針を明らかにした。 容疑者は先週、33時間に及ぶ捜索の末に逮捕された。警察では、容疑に対する認否を明らかにしていないという。 ■「告白」メモが残されていたと検察 グレイ検事の記者会見での説明によると、ロビンソン容疑者はルームメイトに、「今やっていることをやめて、私のキーボードの下を見て」とテキストメッセージを送った。ルームメイトは、犯行を打ち明ける内容のメモを読み、「何? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? 冗談だよね? ? ? ?」と返信したという。 ルームメイトの氏名は明らかにされていない。当局によると、捜査に協力しているという。トランスジェンダーを自認し、男性から女性に移行中だという。 メッセージのやり取りでは、ルームメイトが容疑者に、なぜカーク氏を殺したのかと質問。容疑者は、「彼の憎悪にうんざりした」、「交渉では解決できない憎しみもある」と返答したという。 容疑者はまた、「正直なところ、老いて死ぬまでこのことは秘密にしておきたかった。あなたを巻き込んでしまい、すまない」と送信。ルームメートは、「やったのはあなたじゃないよね? ? ?」と返した。それに対して容疑者は、「私だ。ごめんなさい」と返信したという。 ■両親が容疑者を問い詰める グレイ検事は記者会見で、ロビンソン容疑者の両親が、カーク氏殺害への息子の関与を疑うようになった経緯についても詳しく語った。 それによると、容疑者の母親は、事件の翌日に捜査当局が行方を追っているとして公開した人物の映像を見て、息子に似ていると夫に伝えた。母親はまた、容疑者と電話で話し、容疑者が映像の人物に似ていると指摘した。容疑者は、事件当日の10日は体調が悪く、家にいたと話したという。 父親がその後、容疑者を問い詰めると、容疑者は自殺する可能性を示した。容疑者は、説得を受けて両親の家に来て、そこで自分が犯人だとほのめかしたという。また、刑務所に行くよりは「終わらせたい」のだと話したという。 両親は、家族の友人で元保安官代理の人物の助けを受け、警察に自首するよう容疑者を説得。容疑者は11日遅くに逮捕された。 起訴状によると、容疑者は両親にカーク氏について、「悪すぎるし、憎悪をまき散らしている」と話したとされる。 グレイ検事の説明では、容疑者の母親は息子について、近年、それまで以上に政治的になり、同性愛者やトランスジェンダーの人々の権利を支持するようになり、トランスジェンダーの人物と交際するようになったと、捜査員らに話したという。 一方でグレイ検事は、カーク氏がトランスジェンダーに関する見解を理由に狙われたたのかと質問されると、「それは陪審が決めることだ」として、回答を避けた。 グレイ検事によると、カーク氏に向けて放たれた弾丸は、現場付近にいた子どもらやカーク氏に質問していた人などの近くを通過したという。 検察によると、容疑者はルームメイトに対し、メッセージを削除し、事情を聴かれても黙っているよう指示した。そのため、証人に対する不正の罪にも問われているという。 (英語記事 Charlie Kirk suspect confessed in hidden note to roommate, prosecutors allege)