ハワイ便の大幅な遅れを招いた機長=懲戒解雇=の飲酒不祥事で、国土交通省から安全意識が足りないと厳重注意された日航は、鳥取三津子社長ら全役員を減給とする異例の処分に踏み切った。近年の同社は飲酒問題が続発し、対策も奏功していない。現場の引き締めにつながるかどうかは未知数だ。 日航では2018年、英国で副操縦士が大量飲酒して逮捕され、酔った状態で操縦しようとした罪で実刑判決を受けた。その後も飲酒問題が多発し、赤坂祐二社長(当時)は19年10月に全役員42人の処分を発表。「不退転の決意」で再発防止を誓った。 だが、24年12月、メルボルン発便の機長と副機長が乗務前日に飲酒し、口裏を合わせて隠蔽を図る不祥事が起きた。日航はパイロットの滞在先での禁酒ルールを設けるなど対策を講じたが、今年8月下旬にハワイ便で飲酒問題が再発した。 鳥取社長はこの2週間前、日航ジャンボ機墜落事故から40年の慰霊登山に参加。飲酒が根絶されないことへの怒りと失望が遺族の間に広がっているという。