東京電力の旧経営陣3人が福島第一原発の事故をめぐり業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判で、最高裁判所は2025年3月、検察官役の指定弁護士による上告を退け、元副社長2人の無罪が確定した。同じく起訴された勝俣恒久元会長は、2024年10月に亡くなったことで起訴自体が取り消されている。これらの決定により当時の東電幹部に「刑事上の責任はない」ということが司法の結論となった。 「国の存立を揺るがし、多数の被害者を生み出すような重大事故を起こしても、幹部が免責される」。その先例ができるとともに、東電は柏崎刈羽原発の再稼働手続きを進め、関西電力は原発の新増設に向けた調査を始めた。