重要遺物「ファラオの金の腕輪」を盗んだ罪でエジプト博物館職員が逮捕。60万円で売却、溶かされる

9月16日、エジプト観光・考古省は、タハリール広場にあるエジプト博物館で3000年前の純金製腕輪を紛失したと発表。地元警察は全国的な捜査を行った。 腕輪は第21王朝(紀元前1077年から紀元前943年)のアメンエムオペ王が所有していたもので、当時金よりも価値があるとされていたラピスラズリの珠で装飾されていた。 腕輪は今年ローマで開催予定の「ファラオの秘宝」展に貸し出す数十点の遺物のひとつとして、博物館の修復研究室の金庫内に保管されていた。エジプト内務省の声明によると、9月13日に博物館職員が紛失に気が付いて報告。博物館は即座に警察に通報し、16日には紛失を公表した。警察は大捜査網を敷き、腕輪が国外へ密輸されるのを防ぐためにエジプトの全空港、港湾、国境検問所に腕輪の画像を配布した。 そして9月18日、エジプト内務省はエジプト博物館の修復担当職員の女性と、共犯者とされる3人を逮捕したと発表した。 BBCによると、この女性は9日の勤務中に腕輪を盗み、知り合いの銀細工師に手渡した。銀細工師は腕輪を3735ドル(約55万円)で金細工師に売却。その後金細工師は4025ドル(約60万円)で鋳造工に売り、鋳造工は他の宝石類と一緒に腕輪を溶かしてしまったという。当局によると容疑者らは現在拘束されており、犯行を自白している。 地元メディアのALARABIYAは、2011年のエジプト革命以降、混乱に乗じて犯罪者たちが博物館や考古学的遺跡を襲撃し、遺物を盗んで世界中に流していると報じている。 今年の8月にも、エジプト人医師が600点近い古代エジプトの美術品をアメリカに密輸しようとして逮捕され、アメリカ連邦裁判所から6カ月の禁固刑を言い渡されている。

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