「日本をバカにしてる」フランス人YouTuberが福島被災地の空き家でASMR撮影、コメ欄には怒りの声…役場は「パトロール強化図る」

「TomASMR」というYouTuberが福島県浪江町で撮影したとみられる動画を10月16日に投稿し、波紋を呼んでいる。 TomASMRは、YouTubeチャンネルの登録者数は99.2万人(10月17日時点)の人気フランス人YouTuber。音で心地よい刺激を脳に与える昨今人気を集める「ASMR」というコンテンツを中心に配信している。 問題とされている「ASMR IN FUKUSHIMA」と題された動画は、福島県浪江町とみられるエリアで、放射線測定器を片手に白い防護服を着たTomASMRが、道路や電柱、シャッターの閉まった銀行の自動ドアなどを指で叩き、その音を録音していくという内容となっている。 動画冒頭は路上や建物の外で撮影していたが、場面が変わると個人宅と思われる空き家の中に。半壊した部屋には衣類や家具などが散乱していて、「すごい、日本の家だ」などと言ってタンスやふすまを指で叩き録音を続ける。日付が2011年3月のままになっている壁掛けカレンダーを見つけて感嘆する一幕も。 別の部屋に移ると、子どもがいた部屋なのかキャラクターの壁かざりやアップライトピアノが残っていて、扉を失ったタンスには衣類が整然とハンガーで吊るされたままになっており、その家の持ち主が住んでいた頃の生活が映し出されていた。しかし、そこでもTomASMRは、目につくものを叩いて音を採集していた。 浪江町は、’11年3月11日の東日本大震災で、最大震度6強の地震にみまわれ、直接死では182名の尊い命が奪われた。また東京電力福島第一原発事故によって、今も大部分が帰宅困難地域となっている。 この動画の、コメント欄には、“被災地の現状を動画として世界へ共有”や“記録・伝承”という点で評価する声もいくつかあった。とはいえ、 《結局日本をバカにしてるんだろうな》 《笑えねぇよ》 《は?馬鹿にしてんの?ここに住んでいた人達の気持ちも考えようともしないんですか?人の思い出も踏み荒らしてるんだよ》 と、人気配信者が被災地を“採集場所”として利用したことを嘆く声が占めた。また、空き家での撮影に対して《不法侵入では?》との指摘も相次いだ。 こうした批判を受けてか、コメント欄には、TomASMR本人による《禁止区域やレッドゾーンには行かず、許可された区域のみを訪れました。このような光景を目の当たりにするのは感動的で、だからこそ私たちは最大限の敬意を持って行動しました。また、レコーディング中に何人かの住民と話しましたが、知識を深める貴重な冒険となりました》と釈明が英語で追記されていた(訳は編集部)。 そこで浪江町に問い合わせたところ、防災安全係の担当者は問題の動画を「把握している」として、次のように回答した。 「浪江町はゲートで囲われて立ち入ることができない帰宅困難区域もありますが、動画が撮影されたエリアは解除区域なので通行することは可能です。しかし、個人の敷地内に立ち入ることは浪江町関係なく全国的にダメですよね。 動画については県の方からも連絡が来ましたが、警察や行政が委託している警備会社、町で組織している”見守り隊”など、各防犯関係に周知して、パトロール強化を図っているところです」 外国人配信者による被災地での違法行為はこれまでもたびたび問題になってきた。 「9月24日には、立ち入り禁止の帰還困難区域にある福島県大熊町の空き家に不法侵入したウクライナ人3人が逮捕されました。室内でお茶を沸かしたり、住人が残した物をあさるところを生配信しており、通報を受けた警察官による現行犯逮捕でした。 ’24年7月にも帰宅困難区域とみられるエリアで建物や学校などに防護服を着て侵入した外国人YouTuberによる動画が炎上しています。今回は解除エリアではありましたが、そこに住んでいた人たちが残していかざるを得なかった自宅に土足で踏み込んだことは、違法である以前に、許されないことだと思います」(WEBメディア記者) 震災から14年たった今も、帰宅が叶わない人たちが多数いる浪江町。動画撮影の“ネタ”として訪れるが適切なのか、思いを巡らせてほしい。

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