大分県内の特殊詐欺被害が過去最悪、9月末時点で5億6386万円に 64%は警察官かたる手口、県警「金銭の要求疑って」

大分県内で今年に入って特殊詐欺の被害が相次いでいる。9月末までに306件が確認され、被害額は同時期として過去最悪の約5億6386万円に上る。警察官をかたり捜査名目で金をだまし取る「ニセ警察詐欺」が最も多く、被害額全体の約64%を占める。県警は「警察官を名乗る人物から金銭を要求されたら詐欺を疑ってほしい」と注意喚起している。 県警安全・安心まちづくり推進室によると、1~9月の特殊詐欺の認知件数は、昨年の同期比で153件増加。被害額は前年同期の約1億8195万円から約3倍となった。 このうちニセ警察詐欺は74件で被害額は3億6041万円に達している。警察官をかたる人物から電話があった後、LINE(ライン)に誘導し、「逮捕されるかもしれない。容疑を晴らすために費用がかかる」などと不安をあおり、金銭を要求する手口が目立つ。 被害者を信じ込ませるため、ビデオ通話や画像送信機能を使い、偽の警察手帳や逮捕状を示し、「このことは他言してはいけない」と口止めを迫るケースもあるという。 被害者の6割近くが40歳未満。同室は「若い人はLINEでのやりとりに抵抗感が少なく、巧妙な手口にだまされやすい傾向にあるのではないか」と分析する。 特殊詐欺ではほかに、副業を紹介するとかたり手数料などを要求する架空料金請求詐欺(被害額約1億210万円)や、保険や年金に過払い金があるなどとして金を振り込ませる還付金詐欺(同約2405万円)―も多いという。 特殊詐欺とは別に集計している交流サイト(SNS)を介した投資・ロマンス詐欺も依然として多く、9月末時点で231件発生。被害総額は10億7340万円で、8~9月に高額被害が相次いだ。 県警安全・安心まちづくり推進室の長畑陽子室長は「警察官がSNSで連絡したり、警察手帳や逮捕状の画像を送ったりすることは絶対にない。他県警の警察官を装う相手からの連絡でも、名前と所属を確認し、最寄りの警察署に相談してほしい」と呼びかけている。

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